年金が少ない人が生活保護を受けるための4つの条件を解説

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年金が少ない人が生活保護を受けるための4つの条件を解説

更新日更新:2021/08/24

公開日公開:2021/07/20

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生活保護は国民が最低限の生活を送れることを保証する最後のセーフティーネットです。しかし、受給の条件が複雑であり、受給できるにも関わらず申請をしていない方もいます。

年金が少なく、生活に困窮している場合も生活保護の対象になります。年金を受給している場合は、生活保護を受けられないと勘違いしている方もいるかもしれません。しかし、年金の額が少なく最低生活水準を満たさない場合は、年金と生活保護の両立が可能です。

ただし、年金が少ないという理由だけでは生活保護を受けられません。生活保護を受けるためには大きく分けて4つの条件を満たす必要があります。

この記事では年金生活に困窮している方に向けて、生活保護を受けるための条件と、具体的に支給される内容、申請から受給までの流れを解説していきます。現役世代の方も万が一に備えて、生活保護の内容を理解しておきましょう。

くろき

RashiK運営担当
くろき

ひとことメモ

くろき

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くろき

年金が少なく、生活最低水準を満たさない場合は生活保護を受けることができます。ただし、生活保護を受ける場合は一切の贅沢ができなくなる点には注意が必要です。

生活保護を申請する流れやシミュレーションも解説しているので、老後の暮らしが心配という現役世代の方は、生活保護を理解し、老後の準備を進めてみてください。

年金を受給している人も生活保護を受けられる

年金の受給額が最低生活水準を満たさない場合は、最低生活水準と年金の差額が生活保護として支給されます。年金を受給している人も生活保護が受けられる理由は、年金と生活保護の役割が異なるためです。

年金の基本的な考え方は、高齢により働いてお金を稼ぐ能力が失われることに備えて老後の生活の安定を目指すことです。資産の保有状況や、年金以外の収入の有無に関わらず65歳以上(繰り上げ受給をする場合は60歳以上)であれば、退職前の保険料の納付実績に基づいて支給されます。

年金は人によって支給される額が異なるので、国民の生活を必ずしも保障するものではありません。備えるという意味では、保険に近い考え方といえるでしょう。

生活保護の考え方は国民の最低限の生活を保障することです。最低限の生活を送ることが困難である人が最低生活水準に到達するために、収入の不足額を国が補い、自立可能であれば就労支援もおこないます。

よって、年金収入に関わらず就労収入を得ている場合も、居住地域の最低生活水準に満たないのであれば、生活保護の支給を受けられます。

年金と生活保護の役割は異なるので、年金が少ない人も最低限の生活が送れていないと判断される場合は不足額を生活保護として受給できるのです。

参考:生活保護制度との関係について 厚生労働省

年金の少ない人が生活保護を受けるための条件

年金が少なく生活が苦しい状況というだけでは、生活保護の支給が認められない可能性があります。生活保護を受給するためには、次の4つの条件を理解しておく必要があります。

働ける状態にない

現在の収入に関わらず、就労による収入を得ることが客観的に困難であると判断されなければ生活保護は受給できません。このことを能力の活用要件と呼び、働ける人はその能力を用いて労働をする義務があります。年金を受給している高齢者の方でも、働ける状態にある場合は働く必要があるということです。

病気やけがをしており働ける状態にない場合や、安定した就労収入を得ることが困難と判断された場合は生活保護の対象になります。また、うつ病などの精神的な病気と診断され、働くことが困難である場合も対象です。

完治して働ける状態になった場合は、能力の活用要件を満たさなくなるので、生活保護の支給を受けられなくなります。

保有している資産がない

年金を受給する場合は保有している資産の有無は関係ありません。不動産で年金以上の収入を得ている場合であっても、保険料の納付実績に基づき年金が支給されます。

しかし、生活保護を受給するためには株や不動産などの金融資産や、預金などをすべて生活に充てる必要があります。生活保護の受給者は必要があると判断される場合を除いて資産を保有することが認められません。このことを資産の活用要件と呼びます。

資産を保有することが認められる具体的なケースとしては、価値がつかない物件を保有しており、取り壊しの費用のほうが売却より高くなる場合や、現状の家に住み続けるほうが住宅扶助を支給するよりも全体の支給額が減少すると判断される場合があげられます。

生活保護を受給する場合、生活に必要な資産を除き、保有している価値のある資産を手放さなければならないというデメリットもあるので、安易に受給できるものではありません。

あらゆる制度を利用しても生活が困難である

生活保護はあらゆる資産や制度を利用しても最低限の生活ができないときに初めて利用できる最後のセーフティーネットです。よって、生活保護以外に利用できる公的融資制度や給付金制度がある場合は生活保護の前に利用を勧められます。

例えば、高齢者も含めた生活困窮者に対する公的な融資制度には生活福祉資金貸付制度があり、就労支援や、家計指導も含めて継続的な相談支援も受けられます。公的融資制度の利用で生活ができる場合は生活保護ではなく先に融資制度や給付金の利用が勧められます。

生活保護以外にもさまざまなセーフティーネットがあり、生活保護を利用する場合は資産を手放すデメリットもありますので、他の制度を利用して現状を打開できるのであれば、そちらの制度を利用したほうがよいでしょう。

扶養義務者が存在しない

上記の3つの要件を満たしている場合でも、扶養義務者である家族からの扶養が受けられる場合は、生活保護ではなく扶養義務者の援助が優先されます。

扶養義務者とは民法第877条第1項に定める近親親族が経済的に自立できない人を支援しなければならない義務のことです。また、扶養義務には生活保持義務生活扶助義務の2種類があります。

生活保持義務は、配偶者と未成熟の子供を持つ親が対象です。夫婦または親子は、自身と同じ生活水準の生活ができるように支援する義務があります。生活保持義務は扶養義務の中でも非常に効力が強い義務です。

一方で、生活扶助義務は成熟した子と親や、祖父母と孫、兄弟や姉妹などの関係が対象で、経済的に余裕のある状況にある場合に援助する義務がある立場となりますが、生活保持義務より弱い義務になります。

しかし、扶養義務者の存在は生活保護の要件ではありません。扶養義務者からの十分な援助が受けられる場合や、すでに受けている場合は生活保護を受けることはできませんが、扶養義務者が存在している場合でも事情により援助を受けられないときは生活保護が受給できます。

よって、扶養義務者が存在する場合でも生活保護が受けられるケースもあります。

参考:生活保護制度 厚生労働省

生活保護の種類について

生活保護の受給要件を満たした場合は、以下の保護を受けられるようになります。

扶助の種類 具体的な支給内容
生活扶助 食費・被服費・光熱費などの日常生活に必要な費用
住宅扶助 アパートなどを借りるための家賃
教育扶助 義務教育を受ける子供がいる場合に必要な学用品費
医療扶助 医療に関するサービスを受けたときの費用
介護扶助 介護に関するサービスを受けたときの費用
出産扶助 出産をしたときの費用
生業扶助 就労に必要な技能の修得にかかる費用
葬祭扶助 葬祭に関する費用

生活を営む上で必要な費用のみを上記の扶助によって実費で支給されます。ただし、医療扶助と介護扶助は医療機関に直接支払われる形になるので、本人には支給されません。

生活保護には加算制度がある

生活保護には基本的な扶助に加えて条件を満たした場合に受け取れる加算制度がありますので、こちらも紹介していきます。

加算の種類 具体的な支給内容
妊産婦加算 妊産婦の栄養補給などに必要な費用
母子加算 配偶者が欠ける親が子供を養育する際にかかる費用
障がい者加算 障がいを抱える人に支給される費用
介護施設入所者加算 介護施設に入所している被保護者がいる場合の費用
在宅患者加算 在宅患者の栄養補給などに必要な費用
放射線障がい者加算 原爆放射能により障がいを負った人のための費用
児童養育加算 中学校修了前の児童の経費に対応するための費用
介護保険料加算 被保護者が負担するべき第1号保険料を負担
冬季加算 寒冷地に住んでいる人の光熱費に配慮した費用

このように生活保護の加算制度は基本的な扶助制度では対応できない、さまざまな費用を負担します。生活保護の受給者の中で上記の対象となる場合は、扶助に加えて加算制度も受けることが可能です。

また、支給される扶助や加算による費用を扶助の用途以外で使用することは認められません。例えば、生活扶助を利用して生活に必要ない高価な物品を購入することです。定期的に資金使途を確認するため、発覚します。

生活保護の支給内容には旅行などの娯楽に関する費用はないので、支給を受ける場合は一切の贅沢ができなくなります。

参考:生活保護基準の体系等について 厚生労働省

生活保護の申請から受給までの流れ

生活保護の具体的な内容について解説しましたが、ここからは生活保護の申請から受給までの具体的な流れを解説します。

福祉事務所で申請する

生活保護の申請先は福祉事務所です。居住地の福祉事務所の利用が望ましいですが、存在しない場合はできる限り近い福祉事務所を利用しましょう。福祉事務所に生活保護申請書を提出することで申請が完了します。申請をする際は資産申告書や、年金の支給額を確認できる書類を持参すると手続きがスムーズに進みやすいです。

また、福祉事務所で要件を聞かれた際に生活保護の相談に来たと伝えると、申請を受け付けない可能性があります。なぜなら、相談が目的であれば申請の意思がないと判断され、福祉事務所の見解で申請が拒否される場合もあるからです。

福祉事務所の判断と生活保護の審査による判断が一致しないこともあるので、申請の条件を満たしている自覚がある場合は申請の意思があることを明確にしましょう。

福祉事務所は原則として申請の意思を示している場合は拒否できないので、生活保護の申請に来たことを伝えて、申請を受理してもらうことが重要です。

ケースワーカーと面談

申請に問題がなければケースワーカーと面談をして、生活保護の受給資格があるかどうか判断されます。健康状態や、住まいの状況を確認されるので、現在の状況を伝えましょう。

ケースワーカーは社会的に問題を抱える人の相談援助業務につく専門職のことを指し、生活保護が支給された後も定期的に訪問をおこない、扶助の資金使途などを確認します。

結果の報告

調査の結果、生活保護の受給資格があれば支給が開始されます。一方で、生活保護以外で最低限の生活が可能であると判断されれば保護申請は却下されることになります。却下された場合は理由が書かれた書類も渡されるので確認するようにしましょう。

申請が却下されたのであれば、生活保護以外に現状を解決できる可能性が高い方法があるということになります。つまり、理由を書かれた書類を読めば生活保護以外の打開策が分かるということです。しかし、却下された内容に不満がある場合は審査請求もできます。

年金の少ない高齢者が生活保護を受ける場合のシミュレーション

最後に、年金の少ない高齢者が生活保護を受ける場合の支給額をシミュレーションしましょう。高齢者の年金は国民年金のみの受け取りを想定し、月額4万円の国民年金を受け取る前提で生活保護を受給します。

厚生労働省が定める最低生活費から年金を引いた額が生活保護の支給額になりますが、最低生活費は地域によって異なります。例えば、東京23区は1級地-1に分類され、この地域区分が最低生活費の計算に必要です。

東京23区に住む月額4万円の年金収入がある65歳以上70歳未満の高齢者の生活扶助と住宅扶助は下記の通りです。

生活扶助 7万4,220円
住宅扶助 5万3,700円
合計 12万7,920円

生活扶助と住宅扶助のみ支給を受ける場合、最低生活費は12万7,920円になるため、年金収入の4万円を差し引いて8万7,920円が生活保護として支給されます。上記の金額に加えて生活に必要な扶助と加算があれば、追加で支給される仕組みです。

支給される扶助と対象となる加算は人によって異なるので、目安ではありますが、上記の計算を基に年金収入のある高齢者の生活保護の支給額は決定されます。

参考:級地区分 厚生労働省
参考:最低生活費の算出方法 厚生労働省

まとめ

年金の少ない人が生活保護を受給できるかどうかは、働ける状態にないことや、資産の保有状況などが問題になります。

生活保護は最低限の生活を送れない人が頼る最後のセーフティーネットであるため、扶養義務者がいる場合は援助を優先し、その他のさまざまな制度を利用しても生活が困難であると判断された場合に支給される仕組みです。

また、実際に支給が開始されると価値のある資産の保有は許されず、贅沢ができなくなるデメリットがあります。老後を豊かにしたい場合は、生活保護に頼らなくても生活できるように備えることが重要です。

現役世代の方は、生活保護の要件や、支給内容、申請の方法を万が一の際に利用できるように理解すると共に、生活保護を受給することにならないためにも、老後にもらえる年金が少ないと考えている方は今からでも老後に対する対策を始めていきましょう。

よくある質問

年金が少ない場合、生活保護を受けられる?
年金収入に関わらず就労収入を得ている場合も、居住地域の最低生活水準に満たないのであれば、生活保護の支給を受けられます。条件を満たした場合の支給額は、最低生活水準と年金の差額です。
生活保護の受給条件は?
4つの条件があり、働ける状態にないこと、保有している資産がないこと、あらゆる資産や制度を利用しても最低限の生活ができないこと、家族からの扶養が受けられないことです。
詳しくはこちらをご確認ください。
生活保護の申請の流れは?
まずは福祉事務所に生活保護申請書を提出します。その後、ケースワーカーと面談をし、受給資格の有無を判断されます。
詳しくはこちらをご確認ください。
生活保護で受けられる保護は何がある?
たとえば、食費・被服費・光熱費などの日常生活に必要な費用、医療に関するサービスを受けたときの費用などがあります。
詳しくはこちらをご確認ください。

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