相続と生前贈与の違いは?生前贈与のメリット・デメリットと課税方法

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相続と生前贈与の違いは?生前贈与のメリット・デメリットと課税方法

更新日更新:2020/09/04

公開日公開:2020/08/21

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将来子どもが相続で抱える負担を考えた上で、生きているうちから節税対策として生前贈与を選ぶ方が増えています。とはいえ、「贈与税の内容が分かりづらい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

生前贈与がもたらすメリットとともに、デメリットまでしっかりと押さえておくことで、より相続税対策に有効な方法を検討できます。そこでこの記事では、メリット・デメリットに加えて、相続税と異なる点についても分かりやすくご紹介します。

くろき

RashiK運営担当
くろき

ひとことメモ

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節税対策で利用する方が多い生前贈与ですが、生前贈与の方法は2種類あるのをご存じですか?また、贈与しても3年以内に亡くなってしまった場合は相続税の対象になるなど落とし穴も存在します。

とはいえ、自分の意思で資産を渡す人を決めれるメリットは大きいため、隠れたリスクを知って早めの対策を行うことが大切です。

生前贈与とは?相続との違いについて

2015年に相続法の改正によって贈与税が減税となった今、財産を少しでも多く守るためには、生前贈与についてしっかりと知識を深めることが大切です。そこで、生前贈与とは何なのかといった基本をはじめ、暦年贈与と相続財産の前渡しといったように2種類ある受け取り方や相続との違いについても解説していきます。

生前贈与とは

名前の通り、生きているうちに財産を見返りなしに譲ること生前贈与と言います。基本的にいつでも誰にでも制限なく行える上、タイミングや対象者も好きに選べるのが特徴です。

下記で詳しくご紹介しますが、生前贈与の渡し方には2つの方法があり、いずれも節税措置として実践する方が多くいます。相続税をきっちり抑えることも可能です。

2015年に相続法を改正したことで、相続税が増税した一方贈与税は減税となったことからも、生前贈与を活用することが財産を守ることにつながると言えるでしょう。

生前贈与の渡し方①:暦年贈与

個人から個人へ財産を渡す生前贈与では、受け取った側が贈与税を支払うのが一般的です。この贈与税の課税方式として、暦年課税がひとつにあります。暦年課税とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間で課税を行い、この期間の贈与金額が110万円を超えない範囲であれば贈与税は免除となる課税方式のことです。

この暦年課税を利用して、税金を支払うことなく贈与を受け取ることを暦年贈与と言います。特に2015年1月1日からは、両親や祖父母などの直系尊属から20歳以上の子どもや孫に対して財産を贈与した際、万一110万円を超えた場合でも一般の税率よりも低い特例税率が適用となりました。そのため、節税措置の一環として実践する方が増えています。

生前贈与の渡し方②:相続財産の前渡し

毎年110万円を超えない金額であれば非課税で生前贈与を渡せる暦年課税の他、もうひとつが相続財産の前渡しという方法です。生きているうちから相続財産を前渡しすることで、相続時精算課税という課税方式を使えます。この相続時精算課税では、2,500万円を超えなければ課税を受けることはありません。

ただし、相続時精算課税という名前が示すように、相続する際にまとめて課税を精算する仕組みであるため気を付けましょう。あくまでも相続するまで当面のあいだ2,500万円までであれば課税がないだけで、将来相続をする際には相続財産の前渡し時に非課税にした分を精算して贈与税を払うことになります。

また、このように2つある渡し方はどちらか一方しか選べず併用はできないため、じっくりと検討することが大切です。

生前贈与と相続の違い

まずひとつ目の違いとして、生きているあいだもしくは亡くなった後というように、財産を渡すタイミングが大きく異なります。生きているうちに財産を誰かに贈るのが生前贈与であり、亡くなった後に財産を遺言などによって引き継ぐのが相続です。

贈与を受けた側に贈与税がかかる一方、相続した側に相続税がかかります。贈与する側が生きているうちに贈与税を支払うのが一般的であるのに対して、相続税の場合は相続人が亡くなることで発生する税金であることから、基本的に相続人が生きているあいだは税金を支払う義務は発生しません。このように、税金の手続きを行う時期も相違点です。

また、生前贈与では財産を贈りたい相手を制限なしに選べる一方、相続では基本的に親族を対象として法定相続人が財産を譲り受ける権利を持つなどさまざまな違いがあります。

生前贈与を相続税対策で活用するメリット

相続とのさまざまな違いを知ったところで、今度は生前贈与の特長を生かしたメリットについて見ていきましょう。生きているうちから財産を贈ることで相続財産を減らせることから、節税措置としても効果が期待できます。また、財産を贈る相手を制限なく選べることから、「確実に希望の相手に贈与したい」という方にもおすすめです。

生前贈与のメリット①:相続財産を減らせる

亡くなった際に行う相続ではなく、生きているうちから財産を贈ることで、相続財産を減らせるといった大きなメリットがあります。相続時の財産を減らしておけば、課税額が少なくなるため、場合によっては高い節税効果を期待できるでしょう。

生前贈与の渡し方としてご紹介した暦年贈与を利用すれば、1年間で110万円までを課税なしに贈与できます。1人につき年間110万円以内と決まっています。

このように、生きているうちからしっかりと計画を立てて行えば、相続財産を減らすといった節税措置としても適しています。

生前贈与のメリット②:贈与する相手を自由に選べる

相続との違いでもご紹介したように、相続では基本的に親族などを対象として法定相続人に遺留分を残す必要がある一方、財産を贈る相手を制限なしに選べるのもメリットのひとつです。

遺言書を作成すれば相続相手などの希望を反映することは可能ですが、せっかく作成した遺言書に不備があれば法的拘束力を持たず、希望が実現しないといったリスクがあります。そのため、「特定の財産を確実に希望する相手に贈りたい」という方であれば、生前贈与を利用するのがおすすめです。

このように、制限なしに相手を選べるのに加えて生きているうちに財産を贈るといった特徴ゆえ、相続争いなどのトラブルを避ける効果もあります。

参考:生前贈与のメリットとデメリット|相続と贈与の違いをわかりやすく解説【相続弁護士ナビ】

生前贈与を相続税対策で活用するデメリット

節税対策には大きなメリットがある一方、場合によってはかえって税金が高くなってしまうなど、デメリットもあるため注意が必要です。

また、死亡前3年以内に生前贈与したものは相続税の対象になるという規定についても詳しくご紹介します。できるだけリスクを抑えるためにも、まずはしっかりとデメリットを知った上で対策することが大切です。

生前贈与のデメリット①:税金が高くなる恐れがある

節税対策として生前贈与を活用していても、税務署が贈与を否認した場合には相続時に課税となることがあり、デメリットのひとつと言えるでしょう。

実際、生前贈与をしたつもりの財産に対して、相続時には認めてもらえないといったことが多くあるため注意が必要です。この場合、単に課税が発生するだけでなく、課税額が高くなってしまうリスクもあります。

このようなリスクを避けるためには、たとえ110万円以内の暦年贈与であっても、贈与契約書などをきちんと作成しておくことが大切です。贈与契約書を作成しておけば、相続時の財産証明としても有効となり、相続争いのリスクを抑えることにもつながります。

生前贈与のデメリット②:贈与者の生活が困窮する恐れがある

生きているうちに財産を贈与する生前贈与では、財産を少なくして節税対策ができるといったメリットがある一方、財産がなくなってしまい贈与者の生活が困窮してしまう恐れがあります。

亡くなるまでの歳月を予測することは難しいことから、このような万一のリスクがあることもしっかりと頭に入れておきましょう。

「相続時に子どもたちに負担をかけたくない」という思いで生前贈与を検討している、もしくはすでに実行している方も多いのではないでしょうか。ただし、今の生活が苦しくなってしまわないよう、自身の生きているあいだの生活を尊重した上で、無理のない範囲で行うことが大切です。

死亡3年以内の贈与は相続税の対象になる

「生前贈与の3年内加算」という規定があり、贈与者が亡くなった場合、死亡前の3年以内は贈与ではなく相続税の対象になります。3年以内に亡くなってしまうと、効力がなくなってしまうため気を付けましょう。

例えば、110万円以下の暦年贈与で贈与税は非課税であっても、亡くなってから3年以内の分はすべて相続税として課税となります。せっかくの生前贈与がなかったものとならないようにするためには、できるだけ早めから生前贈与を行うことが大切です。

ただし、相続税の対象になるのは法廷相続人の対象者であり、一般的には配偶者や子どもが対象となります。そのため、孫に生前贈与をしていた場合、3年内加算の対象にはならないため安心です。

生前贈与の課税方法

非課税にならない生前贈与について、「どのぐらいの贈与税がかかってくるのか知りたい」という方もいるのではないでしょうか。そこで、課税対象とある金額の算出方法とともに、基本的な贈与率や控除額について見ていきましょう。課税方法も知っておけば、相続との比較もしながら、よりしっかりと節税対策ができます。

課税対象となる金額の計算

先にご紹介したように、1月1日~12月31日までの1年間で、贈与金額が110万円を超えない場合は暦年贈与として非課税の対象です。そのため、課税対象となる金額を計算する際には、1年間の贈与金額から110万円を差し引けば算出できます。

例えば、1年間で1,000万円の生前贈与を受けた場合、110万円を差し引いた890万円が、贈与税の課税対象となる金額です。

贈与税学の計算

贈与税の課税対象となる金額ごとに、税率と控除額が異なります。200万円以下であれば、税率は10%、控除額はありません。200万円超~300万円以下は税率15%、控除額10万円です。

課税対象になる金額 税率 控除額
200万円以下 10% なし
200万円超~300万円以下 15% 10万円
300万円超~400万円以下 20% 25万円
400万円超~600万円以下 30% 65万円
600万円超~1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超~1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円超~3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

20歳以上の方が親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合は、上記よりも税率は少し低くなり控除額は増えるため、当てはまる方は確認しましょう。

まとめ

「相続時にできるだけ子どもに負担をかけたくない」との思いから、節税対策をしようと考えている方にとって、生前贈与は有効です。ただし、相続財産そのものを減らせるといったメリットがある一方、かえって税金が高くなったり生活が困窮したりといったデメリットもあるため気を付けましょう。

デメリットやリスクをできるだけ抑えるためには、相続との違いを理解するとともに、贈与税や課税額などで具体的な数字を確認することが大切です。また、3年内加算の対象とならないよう、生前贈与をするのであればなるべく早めに無理なく行いましょう。

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