配偶者の相続割合はいくら?配偶者控除とは?

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配偶者の相続割合はいくら?配偶者控除とは?

更新日更新:2020/08/18

公開日公開:2020/08/18

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配偶者の相続割合や控除が分かりにくく、相続に関して知識を深めたいという方もいるのではないでしょうか。

相続税の計算は税理士でも見解が分かれるほど専門性が高く、個人で全体像を把握するのは困難です。配偶者控除を含めた複数の控除が利用できることを知れば、情報を整理して専門家に相談ができます。この記事では、配偶者の相続割合や配偶者控除、その他の控除についてご紹介します。

くろき

RashiK運営担当
くろき

ひとことメモ

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自分が大切な人の配偶者だった場合、大切な人が亡くなった際に相続できる資産の割合や控除について、どの程度知っていますか?あまり考えたくはないかもしれませんが、相続はとてもシビアな問題に発展する可能性もあります。

長年寄り添う配偶者として、親族間でのトラブルが起きないように事前に知っておくことが大切です。

配偶者の相続割合

相続において故人は「被相続人」、相続を受ける方は「相続人」と呼ばれます。民法で定められた相続人は「法定相続人」です。

相続税において、配偶者は税制上で優遇されています。相続税額の計算では、民法に定められた親族の相続割合を把握しておくことが重要です。配偶者控除を理解するために、まずは配偶者の相続割合について解説します。

配偶者は必ず相続人になれる

被相続人の配偶者は、被相続人の死亡時点で法律上の婚姻関係にあるなら常に相続人です。法律上の婚姻関係というのは戸籍上の夫婦関係という意味であって、婚姻の届け出をしていない「内縁」の関係では、民法で定められた法定相続人とはなりません。

被相続人の死亡前に離婚をした「元配偶者」の場合、離婚の時点で「相続権」がなくなっています。その後に再婚するかどうかによらず、離婚をすれば親族関係がなくなるため、法定相続人にはなりません。

逆に、被相続人の死亡時点で離婚調停中や別居中の配偶者であっても、法律上の婚姻関係にあるなら相続人です。あくまで「被相続人の死亡時点で法律上の婚姻関係にあること」が、配偶者が相続人であるための要件と考えましょう。

配偶者の相続割合①:子がいる場合

配偶者は常に相続人ですが、その他の親族に関しては法定相続人の「順位」が定められています。第1順位の親族は「直系卑属」、つまり被相続人のです。

被相続人の死亡時点で子がいる場合には、配偶者と子で2分の1ずつに均等分割して遺産相続をするものと考えます。これは民法上の「相続割合」であって、「遺産分割協議」によって実際の遺産配分の調整も可能です。

子が複数いる場合には、遺産の2分の1をさらに人数で均等分割します。子が3人いる場合には、配偶者の相続割合は2分の1、子それぞれの相続割合は6分の1です。子がいるなら子の全員は法定相続人ですが、子が何人いても、配偶者の相続割合が2分の1であることに変わりはありません。

配偶者の相続割合②:子がいない場合

被相続人の子や孫がいない場合、配偶者と第2順位の親族に相続権があります。第2順位の親族は「直系尊属」、つまり被相続人の父母祖父母です。

この場合の配偶者の相続割合は3分の2、父母や祖父母の相続割合は3分の1と考えます。父母の両方が存命であるなら、配偶者の相続割合は3分の2、父母それぞれの相続割合は6分の1です。

被相続人の死亡時点で子や孫がおらず、父母や祖父母も存命でない場合、配偶者と第3順位の親族に相続権があります。第3順位の親族は被相続人の兄弟や姉妹です。

この場合の配偶者の相続割合は4分の3、兄弟や姉妹の相続割合は4分の1と考えます。姉と弟がいるなら、配偶者の相続割合は4分の3、姉と弟それぞれの相続割合は8分の1です。

相続税の配偶者控除とは

相続税において大きな節税効果を期待できるのが「配偶者控除(配偶者の税額の軽減)」です。配偶者が実際に取得した遺産額のうち、配偶者の法定相続分相当額か1億6,000万円のどちらか大きい金額までは、配偶者に対して相続税がかかりません。

法定相続分相当額は前述の相続割合で計算されます。たとえば、法定相続人が配偶者と子2人の場合、配偶者の相続割合は2分の1です。遺産総額が5億円であっても10億円であっても、実際に取得した遺産が遺産総額の2分の1以内であれば、配偶者に対する相続税はかかりません。

実際に取得した正味の遺産額が2分の1を上回った場合でも、正味の遺産額の1億6,000万円までを非課税にできます。配偶者控除を受けるには複数の要件を満たす必要はありますが、実質的に無税となるケースが多いため、配偶者の相続税額を抑えるためによく利用される制度です。

配偶者控除を受けるための4つの要件

配偶者控除は戸籍上の妻や夫だけが受けられ、実際に配偶者控除を受けるためには、配偶者であることや財産隠しがないことの証明を要します。遺産分割を完了させ、税務署に書類を提出することも必要です。配偶者控除を受けるための4つの要件を見ていきましょう。

要件①:戸籍上の配偶者であること

配偶者控除を受ける本人は、被相続人が死亡した時点での配偶者、つまり法律上の婚姻関係にあったことが必要です。戸籍上の夫婦関係であることが必須条件なので、内縁の妻や夫では配偶者控除を受けられません。

配偶者控除は自動的に受けられる制度ではなく、税務署に申告することで受けられます。被相続人の死亡時点で配偶者であったことを、戸籍謄本を提出して証明することが必要です。

配偶者が遺産を相続するなら、被相続人と離婚調停中や別居中であっても、配偶者控除の手続きに問題はありません。婚姻期間についての定めもなく、あくまで配偶者として法定相続人であるという事実が重要です。

要件②:財産隠しがないこと

配偶者控除の申告をしてから、税務調査によって遺産の申告漏れが発覚するケースもあります。たとえば、存在に気付いていなかった預金通帳や金などの財産についてです。

申告漏れの遺産を意図的に隠していたことが発覚した場合、その遺産については配偶者控除の対象外です。本来は配偶者控除の控除額内に収まる遺産であっても、意図的な財産隠しに対しては相続税が発生します。

この場合は、配偶者控除を受けられない上、「重加算税」の支払いも必要です。本来支払うべき相続税に35%を乗じて課税されるため、申告漏れには注意しましょう。なお、意図しない申告漏れの場合は、修正申告を行うことで配偶者控除が受けられます。

要件③:相続税申告書を提出する

配偶者控除は遺産相続後の正味の遺産額について適用されます。配偶者控除を受けるには、原則として「相続開始」から10か月以内に、相続税の申告書を提出することが必要です。

相続開始というのは、被相続人が死亡した時点を指します。申告書を提出する窓口は、被保険者の管轄の税務署です。

配偶者控除を受けると相続税額が0円になると明らかな場合でも、申告書を提出して配偶者控除の手続きを完了させる必要があります。民法上の相続割合はありますが、実際に相続する財産は相続割合通りとは限りません。誰がどれだけの遺産を相続し、配偶者控除の対象額はいくらかを証明することが必要です。

要件④:遺産分割が確定している

配偶者控除の対象額を算出するためには、遺産分割が完了していることを要します。相続人が複数いる場合には相続開始から10か月以内に遺産分割を行い、相続税の申告と納付まで完了させることが原則です。遺産分割協議書の写しに印鑑証明書を添付し、取得した遺産が証明できる書類も提出すれば、配偶者控除が受けられます。

10か月以内に遺産分割協議が終わらなかった場合、配偶者控除を受けるための救済措置の利用も可能です。この場合は相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、残りの遺産の分割を申告期限から3年以内に完了させれば、配偶者控除が受けられます。

やむを得ない事情で3年以内に遺産分割が完了しなかった場合、税務署長の承認を受ければ、さらに4か月間の延長も可能です。

配偶者控除以外の6つの控除

配偶者控除は申告を要しますが、基礎控除は申告しなくても自動的に受けられます。金額の大きさは配偶者控除ほどではありませんが、相続人全員の税負担にかかわる重要な制度です。その他にも、配偶者控除と同様に申告制の控除が5種類あります。配偶者控除以外の6種類の控除について見ていきましょう。

基礎控除

相続税が課税される遺産の総額は、遺産総額から「基礎控除額」を差し引いて計算します。基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

遺産総額2億円で法定相続人が3人の場合、基礎控除額4,800万円を差し引いた1億5,200万円を課税遺産総額と計算します。遺産総額4,800万円以下で法定相続人が3人であれば、基礎控除額が課税遺産総額を上回るため、相続税はかかりません。

実質的に相続税が無税となる場合でも、他の控除を利用するのであれば申告は必要であることに注意しましょう。なお、相続を放棄した法定相続人がいたとしても、基礎控除額の計算には影響しません。

未成年控除

相続人それぞれが実際に納付する相続税額は、各相続人の税額から各種控除を差し引いて計算します。「未成年者控除」は、基礎控除を除き、配偶者控除を含む6種類の控除のひとつです。

相続人が遺産を取得した時点で20歳未満であれば、20歳になるまでの年数1年につき10万円の控除が受けられます。相続人の年齢が16歳3か月や16歳7か月であれば、1年未満は1年として切り上げ、どちらも16歳として計算する仕組みです。この場合、20歳まで4年として、未成年者控除額は40万円と計算します。

なお、未成年者控除額が未成年者の相続税額を上回った場合、控除できない分は未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引く仕組みです。

障害者控除

相続人が遺産を取得した時点で所定の障害者に該当する方であれば、「障害者控除」により相続税額の軽減が受けられます。障害者控除額は85歳になるまでの年数1年につき10万円です。未成年者控除と同じように、1年未満は1年として切り上げて計算します。

重度の知的障害者や1級の精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方などは「特別障害者」に該当し、障害者控除額は85歳になるまでの年数1年につき20万円です。

未成年者控除の場合と同様に、障害者控除額が相続税額を上回った場合、控除できない分は扶養義務者の相続税額から差し引きます。

相次相続控除

「相次相続控除」は、第1次相続(前回の相続開始)から第2次相続(今回の相続開始)までの期間が10年以内である場合に、今回の相続分について控除が受けられる制度です。たとえば、8年前に死亡した祖父の遺産を父が相続し、父の遺産を子が相続する場合に控除を受けられます。

短期間に相次ぐ相続があった場合に、相続税の負担が過重とならないための制度です。前回支払った相続税額のうち、1年につき10%の割合で減免した金額を控除します。

計算式はやや複雑ですが、前回の相続から今回の相続までの期間が短いほど、控除額は大きくなる仕組みです。前回の相続から9年なら前回の相続税額の10%、1年なら90%、各相続人の今回の相続税額から控除できます。

贈与税額控除

相続開始前3年以内に被相続人から財産の贈与を受けた場合、相続税の課税価格に贈与財産の価額を加算し、贈与税額を相続税額から控除します。この制度の正式名称は「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」です。

通常は、毎年110万円以下の贈与に贈与税はかかりません。しかし相続開始前3年以内での贈与は、贈与税の有無にかかわらず相続税の課税価格に加算します。原則として相続開始前3年以内の贈与はすべて加算の対象ですが、贈与税と相続税の2重課税を回避するため、相続税額から贈与税額を控除する仕組みです。

「贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)」の配偶者控除相当額や、直系尊属から贈与を受けた教育資金・結婚資金の非課税分などについては、相続税額に加算しません。

外国税額控除

日本国外にある財産を相続し、外国において相続税に相当する税が課税された相続人は、相続税の「外国税額控除」が受けられます。これは2重課税を回避するための制度なので、外国籍の方などの「制限納税義務者」の場合は適用外であり、適用されるのは日本国内に住所がある「無制限納税義務者」のみです。

外国税額控除額は、外国で支払った相続税に相当する税か、「相続税額×海外にある財産の額÷相続する遺産総額」のいずれか少ない方の金額を適用します。

たとえば、国内・海外の財産をともに3億円分相続し、国内・海外ともに相続税は5,000万円になったと考えましょう。この場合は5,000万円と「5,000万円×3億円÷6億円=2,500万円」を比較し、低い方の2,500万円が外国税額控除額です。

まとめ

相続において配偶者は税制上で優遇されており、特に配偶者控除は大きな節税効果を発揮します。配偶者控除の他にも条件次第で複数の控除を利用できますが、基礎控除以外の制度の利用には手続きが必要です。手続きを間違えると控除が受けられない上、追徴課税を受けるリスクもあります。

相続税額の計算は非常に専門性が高く、個人で計算するのは難しい場合もあるので、専門家に相談するようにしましょう。

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