遺言の書き方と基本ルール|全財産の相続やお墓についての例文も紹介

終活

遺言の書き方と基本ルール|全財産の相続やお墓についての例文も紹介

更新日更新:2020/07/21

公開日公開:2020/07/20

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遺言書を作成する際には、多くの場合3種類の普通方式から自分に合ったタイプを選択します。その中でも「自筆証書遺言」は最も手軽に遺言を作成できる方法としても知られていますが、具体的な書き方やルールを知らない方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、自筆証書遺言をメインに、基本的な規定や書き方のポイントについて詳しく解説します。基本を知ることで、不備やミスを減らすためにも役立つでしょう。後半では、他2種類に加え特別方式の書き方もご紹介します。

くろき

RashiK運営担当
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ひとことメモ

くろき

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遺言書の中でも取りかかりやすいのが自筆証書遺言です。手軽に書くことはできますが、ただ書くだけでは効力がなく、無効になってしまうというケースもあります。

そうならないために、最低限抑えておくべき形式や、保管したものをどのように残された人の手に渡るようにするのかといったところまで考えておくことが大切です。

自筆証書遺言の基本フォーマット

自筆による作成が原則となる方式の場合、フォーマットには厳密な規定がありません。最低限優先したいアイテムを意識し、長期間保管できる遺言書を完成させましょう。無効になるリスクを防ぐためには、必要事項の理解も大切です。基本的な書き方と記載内容の項目に分け、それぞれ詳しく解説します。

基本の書き方

自筆証書遺言は、名前の通り遺言者本人の自筆による作成が条件です。必要な内容が適切に反映された書面であれば、紙やペンの種類は問われません。以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 遺言者の氏名と押印
  • 作成した日付(年月日)
  • 自筆による本文

便箋に書く他、余ったチラシ広告の余白でも認められます。ただし、長期間保管することを考慮すると、耐久性に配慮した方が良いでしょう。熱に弱い紙と鉛筆で作成した場合、保管場所の熱気や湿気により劣化が進むかもしれません。

時間に余裕がある方は、万年筆や消えにくいペンと紙を用意できると安心です。書式や記述の順番に決まりはないため、項目に漏れがないよう意識しながら反映しましょう。

自筆証書遺言に必要な内容

遺言書を作成する上で特に重視したいのは、「誰に対してどのくらいの財産を相続させるか」という内容です。あいまいな内容では効力が認められないため、財産の内訳や割合も細かく記載する必要があります。具体的な内容は遺言者によって異なりますが、以下を参考にしてみましょう。

  • 誰に相続させるか
  • 何をどのくらい相続させるか
  • 相続を廃除したい人の明記
  • 遺言執行人の指定
  • 隠し子の認知

このような内容が明記されていると、遺言者の意思として尊重されます。ただし、極端に不公平な相続割合がある場合、相続人が効力の無効化を訴えるかもしれません。万が一「相続させたくない」と望む相続人がいるのであれば、廃除の旨を明記してしっかり意思表明しましょう。

自筆証書遺言の書き方と基本ルール

遺言書として正式に効力を持たせるためには、あらかじめ定められたルールに則る必要があります。代筆や記載ミスが発覚すると、内容が適切であっても認められません。別の日に作成した場合は、新しい物が有効となる点も理解しておきましょう。自筆証書遺言における、基本的な書き方とルールについて解説します。

書き方のルール1:自筆

自筆証書遺言の効力が判断される基準のひとつは、「自筆であるかどうか」という事実です。本文をワープロなどで入力・印刷した場合、遺言書本来の目的を果たしません。配偶者や子どもの代筆でも認められないため、終始自分の字で遺言を連ねましょう。保管用としてコピーを備えることは可能ですが、効力を発揮するのは原本のみとなります。

書き方のルール2:署名・押印

相続などの内容を記入する他、遺言者本人の署名と押印も必要です。いずれかひとつでも確認できない場合、効力が認められず内容全体が無効化されます。遺言者が特定できないペンネームも対象外となるため、特別な理由がなければ戸籍上の氏名を反映しましょう。印鑑は、実印の他認印や母印でも認められます。

書き方のルール3:日付

遺言書の中でも不備が多いといわれるのが、作成日の記入です。年月日を正確に書き、作成した日付を特定させる必要があります。「2020年10月吉日」といったあいまいな表現は無効となるため、正確な日付を反映しましょう。国民の祝日を記載して認められた例もありますが、信頼性を重視するのであれば年月日の方が賢明です。

書き方のルール4:訂正・修正

内容に間違いや変更があり手を加えたい場合は、二重線で消した上で押印し、付近に新しく記入します。このうち1か所でも間違いがあると、修正内容が認められなくなるかもしれません。訂正や修正にも厳密なルールがあるため、可能であれば新しく作り直しましょう。些細な誤字でもごまかさず、一語一句間違いがない状態にできると安心です。

書き方のルール6:保管

多くの場合、封筒に入れてテープやのり付けを施してから保管されます。保管方法にも明確なルールはありませんが、第三者による改変のリスクを軽減する対策が重要です。表書きも任意で決められるため、分かりやすいよう「遺言書」などと記載するとよいでしょう。

遺言書が複数枚にわたる場合は、ホチキスなどでまとめて保管するのがおすすめです。順番が分かるように契印しておくと、改変や紛失の可能性を軽減できます。なお、2020年7月からは法務局での保管が可能です。紛失や見つけてもらえなかった場合を想定して、法務局に預けることも検討しておきましょう。

自筆証書遺言の書き方例

遺言書として認められる書類の内容は、遺言者の希望や財産の内訳によってさまざまです。限定的なフォーマットといえるものはないため、大まかな参考例として例文を押さえておきましょう。不動産相続から予備的遺言まで、10個のパターンをピックアップして例文・注意点を解説します。

例文1:不動産の相続

財産に不動産を含んでいる場合、相続する不動産の詳細情報が必要です。以下を参考に、土地や建物に関する情報をそれぞれ記載しましょう。

遺言者(自分の氏名)は、以下のとおり遺言する。

1 遺言者は、遺言者が有する以下の不動産を、遺言者の長男(氏名・生年月日)に相続させる。

所在
地番
地目
地積所在
家屋番号
書類
構造
床面積 1階
2階

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

住所だけでなく、地積や建物の底面積といった情報も反映します。財産を特定するために重要な要素となるため、正確な情報が分かる資料を用意できると安心です。

例文2:車の相続(動産)

遺言者の名義となっている車を相続する場合は、特定の相続人を指定します。以下のように、登録番号や車台番号などを正確に記載しましょう。

遺言者(自分の氏名)は、次のとおり遺言する。

1 遺言者は、遺言者の有する下記自動車を(氏名と生年月日)に相続させる。

登録番号
種別(普通など)
用途(自家用、営業用など)
車名
型式
車台番号

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

あいまいな数字やアルファベット表記など、読みにくい文字は避けるようにしましょう。複数の車が挙がる情報の場合、特定できないために無効となる可能性があります。

例文3:有価証券の相続

株式や投資信託など、有価証券を保有している方でも相続が可能です。金融商品によって記載方法が異なるため、以下の代表的な例を押さえておくとよいでしょう。

私、遺言者(自分の氏名)は、以下のとおり遺言する。

1 遺言者は、遺言者名義の以下の金融資産(株式投資信託)を、妻(氏名・生年月日)に相続させる。

銀行 (銀行名・支店名)
口座番号
ファンド名
残高

2 遺言者は遺言者名義の以下の金融資産(株式)を、長女(氏名・生年月日)に相続させる。

会社名 株式数
会社名 株式数

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

例文4:相続の割合

相続させる割合を遺言で指定したい場合は、相続人を特定させた上で具体的な数字を記入します。預貯金残高の相続を想定すると、以下が例文です。

私、遺言者(自分の氏名)は、以下のとおり遺言する。

遺言者は、遺言者名義の以下銀行預金を長男(氏名・生年月日)、長女(氏名・生年月日)に相続させる。相続割合は、それぞれ2分の1とする。

銀行(銀行名・支店名)
口座番号
残高

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

対象と割合が不明確な場合、意味合いが伝わるものでも無効となる可能性があるため注意しましょう。

例文5:全財産を相続させる

特定の人物に全財産を相続させたい場合は、以下のように対象を指定することで効力を発揮します。

私、遺言者(自分の氏名)は以下の通り遺言する。

遺言者に属する一切の財産は、妻(氏名・生年月日)に相続させる。

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

ただし、他の相続人によって遺留分侵害が訴えられる可能性にも配慮が必要です。なんらかの理由で廃除を希望する場合は、相続人の氏名も挙げて事実を表明しましょう。

例文6:相続人以外の相続

本来の相続人である配偶者や子ども以外に承継したい場合、遺言書には「遺贈」の言葉を用います。対象を特定するため、相続人の住所も正確に反映することが大切です。

私、遺言者(自分の氏名)は以下の通り遺言する。

1 遺言者は、以下の財産を(相続人の氏名・住所・生年月日)に遺贈する。

銀行(銀行名・支店名)
口座番号
口座残高
口座名義 遺言者

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

例文7:お墓の項目

先祖のお墓がある方は、主催者を特定させることで祭祀を承継できます。葬儀の内容や菩提寺に指定がある場合は、あわせて指定する旨を記載するとよいでしょう。

私、遺言者(自分の氏名)は次の通り遺言する。

1 遺言者は、祖先の祭祀を主催する者として、長女(氏名・生年月日)を指定する。

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

承継の他、祭祀に費やすお金の口座を指定したり、お墓の状態維持を委任したりといった内容も認められます。

例文8:遺言執行人の指定

相続に関わる手続きをスムーズに進めるためには、遺言執行人を指定するのもおすすめです。特別な資格は必要なく、相続人の他司法書士などにも依頼できます。

私、遺言者(自分の氏名)は次の通り遺言する。

1 遺言者は、遺言の執行人として下記の者を指定する。

(遺言執行人の住所・氏名・職業・生年月日)

2 遺言執行人は、この遺言を執行するに際し、預貯金などの名義変更と解約、登記手続きその他必要な一切の行為を行う権限を有する。

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

例文9:付言事項

形式的な記載内容以外に、遺言者本人の意思を伝えるために用いられるのが「付言事項」です。相続の割合や生前の感謝など、自由に執筆できます。以下は記載例です。

付言事項

(配偶者や子どもの名前)、私は生涯をかけて家族を愛していました。立派に独立したことに誇りを持っています。

遺産については、私の介護で負担をかけたため、先の通りに相続させることを決めました。争うことなく公平な行動を望んでいます。今まで本当にありがとう。

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

例文10:予備的遺言

遺言書を作成してから相続が発生するまでの間、指定した相続人が先に亡くなるケースも考えられます。このような場合、「予備的遺言」の項目を設けることで予備的な選択肢が提示可能です。

私、遺言者(自分の氏名)は次の通り遺言する。

遺言者は、遺言者の夫(氏名・生年月日)が遺言者の死亡前または同時に死亡したときは、(前項で記載した番号)に定める財産を長男(氏名・生年月日)に相続させる。

(記入した年月日)
(遺言の住所・氏名・押印)

自筆証書遺言の一部はパソコン作成できる

本文や自分の氏名などは、自筆で反映する必要があります。ただし、相続法の改正で財産の事実を証明する目録や書類は、自筆以外でも認められるようになりました。不動産に関する詳細情報をパソコンで作成したり、証券番号などを印字したりといった対応でも認められます。

預貯金口座では、口座番号や氏名が分かるページをコピーして活用可能です。これまで負担の要因となっていた作業が省略できるため、パソコン作成や印刷を組み合わせて実行するとよいでしょう。

自筆証書遺言の書き方のポイント

自筆で遺言書を作成する際には、意思を表明する内容の正確性が重要です。不明確なものは認められない可能性があるため、相続人以外の第三者が読んだときに理解できる文章を意識しましょう。遺留分侵害の周知や、遺言執行人の指定も重視したいポイントです。効力を発揮し、問題なく相続させるための書き方をご紹介します。

あいまいな表現は避ける

複数の意味に捉えられるような内容や、対象が特定しにくい情報の反映は適切といえません。相続人の間で認識できる内容でも、場合によっては効力が認められない可能性があるためです。財産の承継を指定する場合は、それぞれに対する割合も明確に記載しましょう。家族への理解だけでなく、客観的に読んで確信できる内容を意識できると安心です。

遺留分侵害するなら同意を得ておく

法律では、不当な相続を避ける対策として「遺留分」の規定が設けられています。遺言者(被相続人)との続柄によって、最低限受け取れる財産の割合を決める法律です。特定の人物に全てを相続させる場合、他の相続とトラブルに発展する可能性があります。

申し立てがなければ問題にならないため、相続人と遺言者の話し合いが重要といえるでしょう。相続人の考えを共有することで、亡くなった後も円満な関係を維持しやすくなります。

遺言執行人を指定しておく

遺言の実行に不安が残る場合は、信頼できる人を選んで遺言執行人に指定するのもおすすめです。指定された方は遺言書通りに手続きを進めるため、相続人のトラブルや不適切な手続きを防ぐきっかけにもなります。特に、不動産を所有している方はメリットを得られるでしょう。登記に関する手続きは、遺言執行人がいる場合には、執行人のみで登記の手続きを済ませられます。

遺贈と相続の表現について

不動産の財産を承継する場合、言葉によって相続の認識が異なります。対象として含まれるのは以下のパターンです。

  • 相続:法定相続人にのみ使用できる言葉
  • 遺贈:法定相続人・法定相続人以外のどちらでも使える言葉

遺贈した場合、登記や借地権といった手続きに手間がかかります。法定相続人に対して単独の登記と認めるのであれば、相続させる旨を記載しましょう。

自筆証書遺言を有効にする方法

作成した遺言書を有効な物として認めてもらうには、開封前の検認作業が必要です。第三者による改変を防ぐ目的もあるため、保管前の段階で家族とも共有しておきましょう。安全な場所での保管を望む方は、新しくスタートした保管制度の活用も可能です。自筆証書遺言を有効化するための方法を2つご紹介します。

自筆証書遺言には検認が必要

作成した遺言書が封印されている場合、相続人が開封する前に「検認」を申請するルールです。家庭裁判所に申請し、期日までに足を運んで開示してもらいます。確認は任意ですが、相続人全てに検認の事実を通知可能です。

検認を行わないまま開封した場合、ペナルティとして罰金が課せられるケースもあります。改変が疑われると遺言書そのものが無効になるリスクもあるため、まずは家庭裁判所への問い合わせを優先しましょう。

検認が不必要な保管制度

2020年7月10日、法律の一部改正によって保管制度のスタートが決定しました。あらかじめ作成した自筆証書遺言を、法務局で長期間保管できる制度です。申請の形式チェックも規定に加わったため、相続発生時も検認が不要となります。これから作成の実行を検討している方は、新しい保管制度の活用も視野に入れておきましょう。

参考: 『法務局|相続法改正』

自筆証明遺言以外の遺言の書き方

自筆証書遺言の他には、普通形式の種類として2つのパターンが挙げられます。改変や紛失を防ぐためにも効果的な方法といえるため、選択肢のひとつとして理解を深めておくと安心です。また、特殊な事態を想定した特別形式も遺言書の種類に含まれます。それぞれの違いを明確にし、基本的な書き方を押さえておきましょう。

公正証書遺言の書き方

公証役場の担当者に依頼し、遺言者が口述した内容を反映してもらう方法が「公正証書遺言」です。本文は自分で記入する必要がなく、構成や詳しい内容は公証人が決定します。作成した遺言書の原本は、手続き後に公証役場で保管が可能です。

遺言の内容を証明するため、2名の証人を立てる必要があります。親や子どもといった続柄にある場合は、証人に認められません。作成から保管まで公的機関で作業できる点を考えると、安心性が高く効力を発揮しやすい方法といえるでしょう。

秘密証書遺言の書き方

自分が遺す言葉を誰にも知られたくない場合、公証人などにも開示せず作成できるのが「秘密証書遺言」です。自分で作成した遺言書を公証役場に提出し、遺言書としての存在を認めてもらう目的があります。

手続きには証人2名が必要です。手続きを終えた後は、自筆証書遺言と同様任意の場所で保管できます。専門家による形式チェックが行われないため、相続が発生してから内容の不備が発覚するリスクには注意が必要です。

特別証書遺言の書き方

遺言書を作成するために十分な時間が確保できない場合、「特別証書遺言」の形式を反映できます。外界から隔離された状態にあったり、死亡の危機が認められたりする際に有効です。以下の要点を押さえておくとよいでしょう。

遺言書の区分 想定されるケース 条件
一般危急時遺言 死亡の危機にある 3名以上の証人が立ち会う
一般隔絶地遺言 外界から隔絶されている 警察官1名と証人1名以上が立ち会う
難船危急時遺言 船舶が遭難し、死亡の危機にある 証人2名以上が立ち会う
船舶隔絶地遺言 船舶中で外界から隔絶されている 船長または事務員1人と証人2人以上

まとめ

自筆証書遺言は、遺言書の中でも手軽に取り組みやすい形式です。フォーマットが自由なだけでなく、保管場所が定められていない点もメリットといえます。一方、内容の不備によって効力がなくなるリスクも理解しておきましょう。

普通方式・特別方式のパターンも把握できると、自分の状況に応じて適切な方法を選択しやすくなります。遠い将来、家族が相続の際に困ってしまうような事態を避けるために、早い段階から書き方を覚えて作成に取り掛かりましょう。

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