【2020年最新】自筆証書遺言書の書き方と気を付けたいポイント

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【2020年最新】自筆証書遺言書の書き方と気を付けたいポイント

更新日更新:2020/09/04

公開日公開:2020/07/15

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証人が不要で手軽に作成できる遺言書が「自筆証書遺言書」です。遺言書は自筆で書かなければなりませんが、2019年より一部パソコンでの作成が可能になり、時代に合わせて変化しています。しかし、遺言書を作成したいと思いながらも、どのように書けばよいか分からない方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、自筆証書遺言書の書き方やメリット・デメリットについて解説します。書き方のポイントや注意点を理解すれば、トラブルを未然に防げるでしょう。また、2020年7月よりスタートする「自筆証書遺言書保管制度」も紹介します。

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ひとことメモ

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自筆証書遺言は、自分ひとりで作成できるため、遺言書の中でも最も取りかかりやすい遺言形式です。

しかし、実際に遺言書が必要になった時には、家庭裁判所での「検認」が必要になったり、専門家のチェックがないため、いざという時に法的に無効となってしまう場合もあるので注意が必要です。 この記事を読んで、抑えるべきポイントに気をつけながら作成を始めてみてください。

自筆証書遺言書とは:基礎知識とメリット・デメリット

遺言書の作成を考えたことのある方であれば、「自筆証書遺言書」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。民法では遺言書として認められるいくつかの形式を定めています。ここでは、自筆証書遺言書の基礎知識やメリット・デメリットについて見ていきましょう。

全文を自筆で書いた法的根拠のある遺言書

全ての箇所を自筆する普通方式の遺言書を「自筆証書遺言書」と呼びます。民法第968条で定められており、代筆は認められていません。

遺言は民法上、普通方式が3パターン、特別方式が4パターン規定されています。普通方式のひとつが「公正証書遺言」で、公証役場で作成したものです。もうひとつが「秘密証書遺言」で、内容は非公開にし、公証役場に証明のみを依頼します。これら2つの普通方式に比べ、自筆証書遺言書は最も手軽かつ安価に作成できる遺言書といえるでしょう。

自筆証書遺言書のメリット

公証役場を利用しないため、費用をかけずに作成できます。また、自分で書くからこそ修正しやすい点もメリットといえるでしょう。財産状況や気持ちに変化が生じたときでも、手軽に内容の書き替えが可能です。

普通方式のひとつである公正証書遺言は、公証人や証人へ遺言や財産の情報が共有されます。しかし、自筆証書遺言書では、遺言や財産の情報を他人に知られることはありません。他人に遺言書の内容を見られることに抵抗がある方にとっては大きなメリットでしょう。

自筆証書遺言書のデメリット

デメリットとして次のようなことが挙げられます。

  • 遺言書の存在に気付いてもらえない恐れがある
  • 遺言書の偽造やだまされて作成されるケースがある
  • 規定に反した遺言書を作成すると遺言書自体が無効となる
  • 裁判所の検認が必要である

このように、相続人へ正式な遺言書が渡らない恐れがあることがデメリットといえるでしょう。また、自筆証書遺言書の場合、相続手続きをスタートさせるには家庭裁判所から遺言書の検認を受ける必要があります。相続人の手間が増えることもデメリットといえます。

自筆証書遺言書以外の遺言書

遺言書の普通方式には3種類があります。自筆証書遺言書が最も手軽に作成できる形式といえますが、他の形式の特徴を知った上で自分に合った遺言書を選ぶとよいでしょう。ここでは、自筆証書遺言書以外の「公正証書遺言」「秘密証書遺言」について解説します。

公正証書遺言

公正証書遺言を作成する際は、公証人と証人が同伴のもと、遺言を作成したい方が公証人へ内容を話します。証人は2名以上必要です。遺言として話した内容を公証人が書き記し、公正証書として作成します。

公証人が作成した書類の内容を確認するときには、遺言を作成したい方以外に2名以上の証人が必要です。内容を確認して署名、捺印をし、原本は公証役場で保存します。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が自ら遺言書を作成します。そのため、遺言の内容を他人に知られる心配はありません。遺言書の作成後、公証役場に証明を依頼します。

公証役場で行うのは、遺言書に封印し、公証人と2名以上の証人が遺言書の存在を確認する手続きです。遺言の内容を知られずにすむ一方、形式に不備があった場合は遺言書が無効となる恐れがあります。

自筆証書遺言書:起きやすいトラブル事例

自筆証書遺言書は、事前に内容を確認する必要がないため、相続の過程でトラブルになりやすい一面もあります。規定に反した遺言書であった場合、遺言自体が無効になることも留意が必要です。ここでは、自筆証書遺言書で起こりやすいトラブル事例を解説します。

財産の特定方法があいまい

遺言書に書かれた財産の特定方法があいまいであった場合、遺産の分割においてトラブルが起こりやすいでしょう。以下に具体的な事例を挙げます。

  • 自宅と預金口座のみを財産として指定し、その他の財産についての記載がない
  • 土地の住所のみ記載し、建物のことについての記載がない
  • 自宅の土地建物のみを指定し、私道についての記載がない

遺産の分割はすべての遺産が対象となるため、遺言書では漏れなく遺産と相続人を指定することが大切です。「これ以外の財産は〇〇が相続すること」など包括的に書くことを意識しましょう。

割合の指定がない、もしくはあいまい

相続人が2人以上の場合、割合の指定がないとトラブルになるかもしれません。例えば、「仲良く2人で分けてください」などとあいまいに書くと、意図した相続が実現しない恐れがあります。土地や普通預金、定期預金といった資産を複数人へ相続させたい場合は、割合まで記載しましょう。

割合について遺言書へ書かれていない場合、民法第250条をもとに土地や建物は各2分の1の登記をします。ただし、法務局へ事前に相談することが必要となるため、相続人の手間が増える結果となるでしょう。

自筆証書遺言書の書き方:ポイントと注意点

ここでは、自筆証書遺言書の書き方についてポイントと注意点を解説します。規定された形式通りに作成されていない自筆証書遺言書は無効になるため、正しい書き方を把握しましょう。遺言書を書く前に、「自分にはどのような財産があるか」「誰に相続させたいのか」を整理しておくことも大切です。

財産を把握しておく

まずは、自分の財産を把握しましょう。忘れている財産があるかもしれません。思いつくままに記載して分かりにくい内容になることを避けるため、改めて財産を列挙しておくことをおすすめします。また贈与した財産を遺産書に記載し、トラブルになった事例もあります。遺言書作成にあたり、記憶を整理して正確な情報を把握しましょう。

次に財産目録を作成します。財産目録は一部自筆でなくても構いません。財産目録へ預金通帳のコピーを添付する場合、銀行名、支店名、口座名義、口座番号が判別できるページを選びましょう。不動産の場合、所在地、地番、家屋番号が特定できる書類が必要です。登記事項証明書を添付しましょう。

必ず自筆で

財産目録は自筆でない部分があっても正式な書類と認められますが、その他の部分は自筆の必要があります。遺言書を自分で保管する場合、用紙についての指定はありません。縦書き、横書きの指定もなく自由です。

筆記具は、偽造防止や信頼性の観点から、鉛筆よりもボールペンのような長期間の保存に耐えられるものを使用するのが好ましいでしょう。

日付・署名・押印を忘れずに

遺言書を作成した年月日は、「吉日」ではなく、正確な日付を書きます。住所は番地や建物名まで正しく記入しましょう。郵便番号は不要です。また、遺言書内に署名がなければ無効となるため注意しましょう。

署名だけでなく押印も必要です。認印でも構いませんが、スタンプ印は避けましょう。自筆で作成しなかった財産目録にも、全てのページに忘れずに署名と押印をします。

訂正をしたときは訂正印を押す

書いている途中にミスをしても、訂正することは可能です。また、完成させた後に内容を変更したい場合もあるでしょう。遺言書を訂正するときは、訂正箇所に二重線を引き、訂正した内容は二重線を引いた付近に分かりやすく記載します。

なお、訂正箇所には訂正印が必要です。訂正印がない場合、訂正内容は無効となります。訂正箇所が広範囲にわたるときや変更後の文章が複雑になる際は、新しい用紙に書き直すのがおすすめです。

遺留分には気を付ける

配偶者や子どもといった一定の範囲の法定相続人が、相続の際に保障されている最低限の遺産取得分を「遺留分」といいます。民法で定めている相続人や各人の相続割合は、ある程度は遺言によって変更が可能です。しかし、一定の割合は遺留分として保障されるので注意しましょう。

遺留分が認められる相続人以外に遺留分を超えた財産が相続された場合、遺留分の侵害となります。遺留分が認められる相続人は遺留分の範囲内で、相続された財産の返還を請求することが可能です。(遺留分減殺請求)遺留分についての理解が不十分な場合、遺言書を作成してもトラブルになる恐れがあります。

2019年より財産目録のみパソコンでの作成が可能

2019年の法改正により、財産目録のみパソコンでの作成が可能となりました。財産の種類が多い場合、自筆で財産目録を作成するにはかなりの時間を要します。このデメリットが軽減され、遺言書の作成が容易になりました。

不動産の登記事項証明書や預金通帳のコピーの添付が認められたことも、2019年の法改正によるものです。

自筆証書遺言書:遺言できる主な内容

遺言として残せる内容が分かれば、より具体的に遺言書がイメージできるでしょう。ここでは、遺言できる主な内容を紹介します。相続分や分割方法だけでなく、遺贈や未成年後見人の指定についても詳しく分かる内容です。遺言書についての知識を深めましょう。

誰がどのくらい相続するか:相続分の指定

遺言書には「誰がどのくらい相続するか」を決めた「相続分の指定」について書くことが可能です。遺留分が認められる相続人以外へ遺留分を超えた相続分を指定した場合、遺留分減殺請求が行使される可能性に留意しましょう。

また、相続分の指定を第三者へ委託する「指定の委託」も可能です。第三者に遺産分割の割合の決定を頼みたい場合、指定の委託を希望する旨を書くとよいでしょう。

何をどのようにして分けるか:遺産分割方法の指定

遺言書には「どの財産をどのように分けるか」を決めた「遺産分割方法の指定」について書けます。また、遺産分割方法も第三者に指定の委託をすることが可能です。

遺言者が遺産分割の方法を決められることは、民法第908条で定められています。相続のスタートから5年を超えない期間なら、遺産の分割にストップがかけられることも覚えておきましょう。

遺贈

遺言書には「遺贈」についても書けます。遺贈とは、遺言により自分の財産を法定相続人以外に譲渡することです。法定相続人とは配偶者や子どもといった、法律で定められている相続人を指します。財産は法定相続人が相続することが原則です。法定相続人以外に財産を譲渡したいときは、遺贈する人を指定しましょう。

例えば、日頃からお世話になっている方に財産を渡す場合や、自分が応援している団体や組織に対して寄付をする場合が遺贈にあたります。遺贈も遺留分の侵害を意識して指定できると安心です。

未成年後見人の指定

遺言書に記載できる内容には「未成年後見人の指定」があります。未成年後見人とは、未成年者に親権者がいない場合に、財産の管理などをする法定代理人のことです。

自分の子どもが財産を相続するタイミングは、未成年であることも考えられます。相続人が成人になるまで元気でいることが最良です。しかし、親権者がいなくなることが予想される、万が一の事態に備えたいという場合、遺言書で後見人を指定することが安心材料のひとつとなるでしょう。

自筆証書遺言書の検認:基礎知識と流れ

遺族の方が自筆証書遺言書を見つけた場合、慌てて開封してはいけません。自筆証書遺言書を開封するには、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。ここでは、家庭裁判所へ検認を申し立てる手順について解説します。流れや必要な書類を把握することで、スムーズに対応できるでしょう。

自筆証書遺言書の検認とは

未開封の自筆証書遺言書を見つけた方や保管を任されていた方は、家庭裁判所へ遺言書を提出しなければなりません。提出は、遺言者本人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。相続人同伴のもと、家庭裁判所にて遺言書の内容を確認することを「検認」といいます。

公正証書遺言の場合、検認は必要ありませんが、自筆証書遺言書と秘密証書遺言は検認が必須です。検認を行わずに開封すると、5万円以下の過料に処せられる恐れがあります。

検認の流れ1. 相続人を明確にする

家庭裁判所へ検認の申し立てを行う前に、相続人を明確にすることが必要です。一般的に、財産は法定相続人が相続します。法定相続人は、遺言者本人や相続人の戸籍を取得して確認しましょう。

配偶者は常に相続人になります。法定相続人になれる血族の優先順位は以下です。

  • 1位:子どもや孫(代襲相続人)
  • 2位:両親または祖父母
  • 3位:兄弟姉妹や代襲相続人

検認の流れ2. 申立書を作成する

遺言書の検認を行う際には、家庭裁判所へ「検認申立書」「当事者目録」を提出します。それぞれのフォーマットは、裁判所のホームページよりダウンロードが可能です。

検認申立書は800円分の収入印紙を貼っていないと受理されないので、注意しましょう。また、書類に押印する印鑑は認印で構いませんが、検認当日に同じ印鑑を持参します。検認申立書と当事者目録以外で提出が必要な書類は以下の通りです。

  • 遺言書のコピー(封印がある場合は不要)
  • 遺言者本人の出生時から死亡時までの戸籍謄本
  • 各相続人の戸籍謄本
  • 相続人としての立場によって必要となる戸籍謄本

検認の流れ3. 家庭裁判所へ申し立てと検認の実施

家庭裁判所へ申し立てを行うには、書類一式を持参するか、郵送で提出しましょう。郵送する際には、書留や特定記録を利用すると安心です。

通常、申し立てから数週間後に申立人へ電話で連絡があります。検認の日程を決定し、各相続人宛てに「検認期日通知書」と「出欠回答書」が郵送されるという流れです。

当日は裁判所職員の立ち会いがあります。その場で遺言書の内容を確認しましょう。検認終了後に検認済証明の申請を行うと、遺言書の原本に検認済証明書を添付した状態で申立人へ返還されます。

【2020年最新】自筆証書遺言書保管制度がスタート

自筆証書遺言書は自宅で保管し、家庭裁判所で検認を受けるケースがほとんどです。今後も同様の扱いで問題ありませんが、中には、相続時に遺言書が見つからないリスクがあることや、検認の手続きに時間を要することをデメリットと感じる方もいるでしょう。

そのようなデメリットを軽減するのが、2020年7月からスタートする「自筆証書遺言書保管制度」です。ここでは、制度の内容や利用方法について詳しく解説します。

自筆証書遺言書保管制度とは

法務局(各地の遺言書保管所)へ遺言書の保管を依頼できる制度が、自筆証書遺言書保管制度です。制度を利用すれば、遺言書が見つからない、誤って破棄するなどのリスクがなくなります。

保管を依頼した遺言書は、相続時に検認の手続きは要りません。相続発生後はモニターで遺言書を閲覧できる点もポイントです。全国の遺言保管所から請求ができるため、遠方の場合は便利に活用できます。このように、相続者にとっても負担の軽減が期待できる制度といえるでしょう。

自筆証書遺言書保管制度:遺言作成者の手続き

遺言書を預ける際は、以下の流れで手続きを行います。

  1. 自筆証書遺言書を作成する
    保管制度を利用する場合、用紙のサイズや余白といった遺言書の様式が決まっています。確認後に作成しましょう。
  2. 保管の申請をする保管所を決定する
    遺言者本人の住所地、本籍地、所有する不動産がある所在地のいずれかを管轄している遺言書保管所の中から、申請する機関を選びましょう。すでに他の遺言書を預けている場合、同じ機関に再度預けます。
  3. 申請書に記入する
    申請書に必要事項を記入します。申請書のフォーマットは、法務省のホームページからダウンロードが可能です。また、法務局の遺言書保管所窓口でも配布しています。
  4. 保管申請の日時を予約し、予約した日時に保管の申請へ向かう
    遺言書と申請書の他、本籍の記載がある住民票のコピー、本人確認書類、手数料が必要です。
  5. 手続き終了後に保管証を受領する
    遺言書の閲覧や保管の撤回、変更の届出の際に保管番号があるとスムーズです。保管しておきましょう。

参考: 『法務局における自筆証書遺言書保管制度について|法務省』

自筆証書遺言書保管制度:利用するときの注意点

利用する際の注意点として以下のことが挙げられます。

  • 遺言者本人が申請に出向くこと
  • 用紙をホチキスなどで止めないこと(封筒も不要)
  • 外国語で書かれた遺言書は、日本語での翻訳文を添付すること

また、申請には本人確認書類も求められます。以下の中からいずれか1点を持参しましょう。

  • マイナンバーカード
  • 運転免許証または運転経歴証明書
  • パスポート
  • 乗員手帳
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書

自筆証書遺言書保管制度にかかる費用

自筆証書遺言書保管制度を利用する際には、保管申請をはじめ、さまざまな手数料がかかります。以下は手続きごとの手数料の一例です。なお、遺言書の保管申請の撤回や変更の届出には手数料がかかりません。

  • 遺言書の保管申請:1件3,900円
  • 遺言書の閲覧請求(モニター上で画像の表示):1回につき1,400円
  • 遺言書の閲覧請求(原本の確認):1回につき1,700円
  • 遺言書情報証明書の交付請求:1通につき1,400円

参考: 『自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧・遺言書保管所一覧・遺言書保管所管轄一覧|法務省』

まとめ

自筆証書遺言書は、証人が不要で手軽に作成できる遺言書です。2019年には財産目録はパソコンでの作成が可能になり、遺言書を書こうという方も増えたのではないでしょうか。また、2020年7月から自筆証書遺言書保管制度が利用できます。遺言書の紛失のリスク、検認の手続きといった、自筆証書遺言書のデメリットの軽減が期待できるでしょう。

遺言に関する制度は時代に合わせて刷新されています。自筆証書遺言書のメリットやデメリットを参考にしながら、自分が納得できる遺言書を作成しましょう。

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