遺書と遺言書はどう違う?法的に認められる正しい書き方まとめ

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遺書と遺言書はどう違う?法的に認められる正しい書き方まとめ

更新日更新:2020/07/21

公開日公開:2020/07/14

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終活について考えることが重要視されている昨今、遺書と遺言書の違いについてもしっかりと知識をつけた上で作成をしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

遺書と遺言書の違いだけでなく、法的効力を発揮する遺言書を書き残す方法や記載すべき内容を知っておけば、遺産相続の揉め事を避けることも可能です。

そこでこの記事では、遺書と遺言書の違いをはじめ、法的効果のある遺言書の書き方や内容についても詳しくご紹介します。

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ひとことメモ

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自分の最期の遺志を残すためのものを全て「遺書」もしくは「遺言書」と呼ぶわけではなく、それぞれ明確に目的が異なったものです。 自分が残したいのは「大切な人へのメッセージ」なのか、そうではなく「財産分与についての希望なのか」目的にあった形式を選んで準備をしましょう。

特に「遺言書」については法的な効力が必要なものになるため、抑えておくべきポイントを確認しておくことも大切です。

遺書と遺言書の違いは?

遺書と遺言書の違いを知らず、同じ意味で使用している方もいるのではないでしょうか。遺書は生前の意志を伝える手紙を指すのに対して、遺言書は死後に法的効力を発生させることを目的とした意思表示であり、明確な違いがあります。そこで、遺書と遺言書それぞれの定義を理解するとともに、違いをしっかりと押さえておきましょう。

遺書の定義

遺書とは、生前の意思を伝える手紙のことを指します。自身が死んだ後、家族や友人、知人など大切な方に読んでもらいたい気持ちや願いといった個人的なメッセージを伝えるために書き残すのが遺書です。

死に直面した際に書くのが遺書であり、生前最後のメッセージとして無念の気持ちや感謝の思いなどを文字にしたためる方も多くいます。また、遺書は遺言書と違って法律的な制約は受けないのが特徴です。

遺言書の定義

遺言書とは、自身の死後に法的効力を発生させることを目的に書き残す意思表示のことを意味します。法的効力を発生させるというのがポイントで、遺書とは異なり、法的な制約力を持つのが遺言書です。ただし、法的な制約力を持たせるためには、遺言書自体が法律で定まった要件を満たす必要があります。

民法で細かく定まった要件を満たす遺言書は、死後の意思表示として生前にあらかじめ厳格な手続きによって作成する法律文書のひとつです。

遺産相続に効力を発揮するのは遺言書

遺書と遺言の違いでもご紹介したように、遺産相続に法的効力を発揮するのは遺言書であり、8つの法的効力があります。8つの法的効力を発生させたいケースに当てはまる場合には、しっかりと遺言書を残しておくことが大切です。

遺言書がない遺産相続は揉め事の元になってしまうケースも多く、リスクを避けるためにはきちんとした遺言書を残す必要があります。

遺言書には8つの効力がある

遺言書の8つの効力
推定相続人の廃除 相続させたくないと感じる非行があった場合、推定相続人から相続権を奪える
相続分の指定 相続人のあいだで割合に差をつける
遺産分割方法の指定と遺産分割の禁止 遺産の分割方法を指定もしくは5年を期限として遺産の分割を禁止する
相続財産の処分(遺贈)に関すること 法定相続人ではない第三者や団体などに相続財産を遺贈する
内縁の妻と子の認知に関すること 婚姻関係にない女性とのあいだに子どもがいる場合、遺言書で認知して子どもを相続人に加える
後見人の指定 親権者が不在となり未成年の子どもが残った場合、第三者を後見人に指定することで財産管理などを任せる
後見人の指定 親権者が不在となり未成年の子どもが残った場合、第三者を後見人に指定することで財産管理などを任せる
相続人相互の担保責任の指定 担保責任が発生した際の負担者や負担の割合について指定する
遺言執行者の指定または指定の委託 遺産相続で必要な手続きを行う遺言執行者の指定もしくは第三者に指定を依頼する

遺言書なしの遺産相続はトラブルの元になる

遺言書がない場合の遺産相続は揉め事の元になるため、注意が必要です。揉め事の事例としては、亡くなった方が生前に遺産相続を口約束していたケースで、証拠がないまま相続人のあいだで遺産分割における揉め事に発展し、遺産分割協議が成立するまでに長い年月を費やすことなどがあります。

時間や手間だけでなく、遺産相続の揉め事はその後の人間関係にも影響を与えてしまうことが多いなど、遺言書がない場合には家族の関係が崩れてしまう危険性があることも知っておくことが大切です。

正式な遺言書の種類

遺産相続の揉め事を避けるためには、法的効力を持つ公式な遺言書を残す必要があります。公式な遺言書には、自筆証書遺言をはじめ公正証書遺言秘密証書遺言の3種類があり、特徴や注意点などは異なるため気を付けましょう。それぞれのメリットやデメリットなども参考にしながら、遺言者の意思に沿った方法で遺言書を作成するのがおすすめです。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、その名の通り本人が自筆で執筆した遺言のことであるため、遺言の内容だけでなく存在自体を秘密にしておくこともできます。ただし、パソコンやワープロで作成したり他人が代筆したりはできません。また、本人が自筆で執筆した自筆証書遺言であっても法的効力を発生させるためには、要件を満たしている必要があります。

遺言時に15歳を超えていることに加えて、意思能力があることも要件のひとつです。認知症などで遺言能力がない場合に作成した遺言は、自筆証書遺言であったとしても無効となるため気を付けましょう。このように、意思能力がきちんとあることが重要な要件であることから、15歳以上という年齢に関する要件も含みます。

さらに自筆証書遺言の全文が自書であることに加えて作成した日付や署名、押印があることも要件となるため、忘れないように注意が必要です。

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が遺言の内容を伝えた上で公証人に作成してもらった遺言のことを指します。遺言の作成を代理可能な公証人には、裁判官や検察官を務めていた公務員など、法的効力を持つ公文書を作成可能な公務員を任命します。

このように法律の専門家でもある公証人が作成した公正証書遺言は、遺言者本人の意思に基づいた遺言であることを保証できるのが特徴です。遺言の有効性が保証可能な公正証書遺言では、遺言者が亡くなった後に必要となる遺言書の検認という手続きも必要ありません。

公証人が作成を行う公正証書遺言であれば、意思能力があれば字が書けない場合や寝たきりの方でも遺言を残せるといった利点がある一方、遺言の作成に費用がかかるという欠点があります。また、作成において証人が2名必要となるため、秘密にしておくのが難しいのも公正証書遺言のデメリットです。

秘密証書遺言

秘密証書遺言では、秘密という言葉が入っていることからも分かるように、遺言の内容を秘密にできます。秘密証書遺言は遺言者が書いた後封を閉じるため、生前に遺言内容が知れ渡る心配はありません。遺言書は公証人と証人に提出する必要があるほか、公証人が記入事項に書き入れた後、遺言者本人と証人それぞれの署名および押印が必要です。

このように遺言内容に関して秘密にできるのが利点でもある秘密証書遺言ですが、公証人が遺言内容を確認しないことから、法的効力を持つ遺言の条件を満たしていない可能性もあります。また、公証役場で保管を行う公正証書遺言とは異なり紛失のリスクもあるため、失わないように気を付けながらきちんと管理することが大切です。

遺言書の正しい書き方と内容

遺言書に法的効力を持たせるためには、適正な書き方と内容が欠かせません。遺言書に書くべき内容をはじめ、遺言書の付言事項や例文、注意点までをまとめてご紹介します。

遺産相続の揉め事を防ぐためにも、遺言書を書く際には客観的な記載を心掛けることが大切です。誰が見ても明確に分かるように記載するとともに、遺言内容の経緯や感謝の気持ちもしっかりと伝えましょう。

遺言書に書くべき内容

遺言書に書くべき内容とは、法的効力を発生させたいことであり、民法でも遺言事項として定まっています。そのため、先に挙げた遺言書にある8つの効力をはじめとする内容の記載が必要です。

遺言書に書くべき内容
身分に関する事項
  • 未成年の場合後見人を指定する
  • 内縁の妻とのあいだの子どもを認知し、相続人に加える
相続に関する事項
  • 推定相続人の廃除
  • 相続分の指定
  • 特別受益の持戻しの免除
  • 遺産分割方法の指定と禁止
  • 相続人相互の担保責任の指定
  • 遺留分減殺方法の指定
遺産処分に関する事項
  • 遺贈
  • 寄付
  • 信託の指定
遺言執行に関する事項
  • 遺言執行者の指定または指定の委託

遺言書の付言事項

遺言書にある付言事項には、相続人に対する感謝の気持ちや遺言書の作成に至った経緯などを記します。法的効力を持つ法定遺言事項以外のことを記す付言事項自体には、法的効力はありません。ただし、遺産の分割方法を決めた理由などや相続人に対する思いなどを記すことによって、遺言者の意思を尊重しやすくする効果があります。

付言事項の記入方法は、法定遺言事項を全て記載した下に「付言事項」と記した上で付言事項を書くのが一般的です。そうすることで、付言事項であることがより明確になります。

遺言者の意思を尊重しやすくする効果のある付言事項では、感謝の気持ちを相手の名前を挙げて明確に伝えるとともに、遺言内容に関する経緯についても記載するのが賢明です。なぜこのような遺言の内容になったのかといった経緯の記載は、遺産相続のトラブルを防止する効果も期待できます。

遺言書の例文

遺言書

遺言者○○○○は、本遺言書により次のように遺言する

1.妻○○○○には次の財産を相続させる

(1)土地
所在:○○県○○市3丁目
地番:○○番○
地目:宅地
地積:196.91㎡

(2)家屋
所在:○○県○○市3丁目
地番:○○番地○
家屋番号:○○番○
種類:居宅
構造:木造2階建
床面積:1階85㎡・2階46㎡

(3)前記家屋内にある現金および家財家具、その他一切の財産

2.長男○○○○には、次の財産を相続させる
○○銀行○○支店遺言者名義の定期預金(口座番号○○○○○○○)の全て

3.次男○○○○には、次の財産を相続させる
○○銀行○○支店遺言者名義の定期預金(口座番号○○○○○○○)の全て

4.付言事項

○○年○月○日
○○県○○市3丁目○○番○
○○ ○○ 印

遺言書作成の注意点

遺言書を書き残す際には、必須事項を押さえておくとともに相続財産については正確かつ詳細に記載することが大切です。不明確にならないよう、誰が見てもどの財産のことを意味しているかが分かるような客観的な記載を心掛けましょう。

不動産であれば登記簿に記載があるほか、銀行口座に関しては銀行の支店や口座番号、名義についても漏れがないように記載することが大切です。口座にある金額については、利息などで金額が変化する可能性があるため、具体的な金額は記載しないように気を付けましょう。

遺言書が無効になるケースとは

必須事項の記載を忘れていたり相続内容が不明確であったりする場合、せっかく遺言書を作成しても残念ながら無効になることがあります。遺言書の無効といったリスクを避けるためには、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言と3種類の遺言それぞれで無効になるケースを知った上で、対策を行うことが大切です。

自筆証書遺言が無効になるケース

遺言者による自筆が必須となる自筆証書遺言では、パソコンやレコーダーを使った遺言書のほか、遺言者本人ではない方や2名以上が共同で書いた場合にも無効となります。

また、日付や遺言者本人による署名がない遺言書や日時が特定できないもの、作成日ではない日付を記載しているもの、相続する財産内容が不明確なものなども無効となるため気を付けましょう。

公正証書遺言が無効になるケース

公正証書遺言では、遺言書の作成に立ち会う公証人と証人2名の存在が重要です。そのため、公証人が不在であったり証人になれない方が立ち会ったりした場合は無効となります。

証人は2名必要である公正証書遺言では、証人のうち1名が証人になれない方であった場合人数が足りていないことになるため注意が必要です。証人の人数がそろっていても、席を外しているあいだに作成した遺言書は無効になるほか、公証人に言葉で伝えずに身振り手振りで伝えた場合にも無効となります。

秘密証書遺言が無効になるケース

自筆証書遺言とは異なり自筆でなくともパソコンや代筆による作成が可能な秘密証書遺言では、遺言書の署名は自筆で行う必要があり、押印とともに忘れると無効になるため気を付けましょう。

また、公証人が遺言の内容を確認しない秘密証書遺言の場合、内容が不明確であれば無効となります。ただし、自筆証書遺言の要件を満たしていれば自筆証書遺言として法的効力が発生するため、秘密証書遺言として無効になった場合を想定して念のため自筆で記載するのがおすすめです。

その他遺言書が無効になるケース

要件を満たした遺言書は基本的に法的効力が発生する一方、遺留分や公序良俗に反する場合、詐欺や脅迫によって作成した遺言などは全て無効となります。

遺族の生活保障の観点から定まった遺留分は、相続人に残すべき最低限の遺産における割合のことで、遺言でも剥奪できない相続人の権利です。その他、遺言者の意思を尊重する遺言の中でも公序良俗に反する場合には無効となります。詐欺や脅迫などによって作成した遺言は、取り消すことが可能です。

遺書と遺言書に関する気になる疑問

遺書や遺言書に関するその他の疑問についても、スッキリ解消しましょう。遺言書を書くタイミングや遺言書の作成にかかる費用、遺言書ではなく遺書を書くべきケースと3つの疑問にお答えします。

遺言書ではなく、終活の一環として遺書をまだ元気なうちから書き残したいという方は、感謝の気持ちだけでなく家族の負担を軽減できるような内容も入れましょう。

遺言書を書くタイミングは?

遺言書を書くタイミングについては、15歳以上から自筆証書遺言における要件も満たすため若いうちに作成しておくのが賢明です。

若い方にとっては、遺言書という言葉自体、どこか遠い将来のことと思っている方も多いのではないでしょうか。ただし、いつ交通事故に遭うか分からないのと同じように、遺産相続はある日突然起こります。

その際に遺言書がなければ、遺産相続におけるトラブルの元となるリスクが高まるため、遺言書を書くタイミングについて考えた今から早めに作成しておくのがおすすめです。

遺言書作成にかかる費用は?

遺言書は早めに作成しておくのが賢明であるがゆえ、遺言書作成にかかる費用についてもあらかじめ押さえておきましょう。遺言者本人が作成する自筆証書遺言では、手数料は必要なく、必要書類の取得にかかる実費として数千円程度が目安です。

一方、公正証書遺言の作成には手数料がかかります。手数料は相続財産が100万円までの場合は5,000円といったように財産の価格によって異なるため、自身の財産に合わせて調べることが大切です。また、秘密証書遺言も公証人への手数料がかかりますが、一律1.1万円と決まっています。

遺言書ではなく遺書を書くべきケースとは?

遺言書ではなく遺書を書く場合、死期の近い方が大切な家族や恋人、友人などに「感謝の気持ちを伝えたい」「埋葬方法の希望を書き残したい」といったケースが一般的です。しかし、最近では終活の一環として元気なうちから遺書を書くケースも増えています。

法的効力を持たずプライベートな内容の遺書には、決まった要式や書き方はなく、自由に思いを書くことが可能です。紙に書き残すだけでなく、ビデオにメッセージを録画したり音声テープに録音したりといった方法もあります。

遺書の内容は、書く人の状況によって大きく異なってくるものの、感謝の気持ちを伝えると同時に家族の負担軽減を意識することが大切です。具体的には、終末期に延命治療を行うかどうかをはじめ葬儀や墓の手配やペットの世話、インターネット上におけるサービスの整理などの内容を書きましょう。

まとめ

遠い将来の話であった遺書や遺言書も、最近では終活の一環としてまだ若くて元気なうちから作成しておく方が増えています。遺書や遺言書の違いをしっかりと知った上で、ケースに合わせて正しい書き方と内容で作成することが大切です。

特に遺言書の場合、きちんと要件を押さえて作成しなければ法的効力が無効や取り消しになってしまう可能性があります。リスクや遺産相続におけるトラブルを避けるためにも、法的に正しい書き方や内容をしっかりと押さえておきましょう。

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