遺言の効力が発生する条件とは?遺言の有効性を判断する方法

終活

遺言の効力が発生する条件とは?遺言の有効性を判断する方法

更新日更新:2020/07/21

公開日公開:2020/07/07

この記事をシェアする
1
1
この記事をシェアする

遺言書とは、遺言者が亡くなった後に誰がどのくらいの資産を相続するのかを示したものです。遺言書を残せば相続に関するトラブルを防げますが、間違った書き方をすると遺言の効力が消失してしまいます。どのように遺言書を書けば有効になるのか知りたいという方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、効力のある遺言の書き方を紹介します。正しい遺言の書き方を確認しておくことで、トラブルのない遺産相続ができるでしょう。

アバター

RashiK運営担当
くりす

ひとことメモ

アバター

RashiK運営担当
くりす

遺言がどういうケースで効力を発揮するのか細かく理解されている方は多くはないと思います。せっかく作成しても無効になってしまうのはとても残念なことですよね。

この記事では、正しい遺言書の作成方法や遺言の効力が発生する条件について例を挙げながら説明してますので、しっかりと理解した上で作成していきましょう。

遺言書の効力が発生するのはいつから?

遺言書を作った時点で効力が発生すると思う方もいるかもしれませんが、すぐに有効になるわけではありません。日本の法律では、「効力の発生時期」「効力が発生する条件」をはっきりと定めています。遺言書の効力が発生する条件は主に3つです。相続時のトラブルを防ぐためにも、遺言書を作る前にチェックしておきましょう。

遺言者が死亡した時

民法第985条によると、遺言書の効力が発生するのは遺言者が亡くなってからです。遺言者が法的に有効な遺言書を作成していても、生前には効力は生まれません。

遺言者は、亡くなる前に遺言書をいつでも作り直せます。一方で、亡くなる前であっても第三者が遺言書を破ったり捨てたりすることは許されません。遺言書は慎重に扱う必要があります。

参考: 『民法第985条|遺言の効力の発生時期』

遺言書が正しい方式で書かれている時

遺言書は正しく書いている場合にのみ効力が発生し、間違っている遺言書には効力がありません。そのため、あらかじめどのように作るべきなのか把握しておきましょう。

遺言書には、大きく分けて普通方式と特別方式の2種類があります。通常は基本方式に沿って遺言書を作成しますが、死が迫っている状況では特別方式を使用するので気をつけましょう。

遺言書に記載された条件に達した時

遺言書の中には、何らかの条件が付いているものもあります。「医科大学に合格したら息子に遺産の半分を相続させる」「ペットの面倒を見るなら遺産の半分を相続させる」といった条件です。遺言者が亡くなる前に条件を満たしていた場合は、無条件で相続が可能です。一方で、条件を満たしていないまま相続した場合は、相続が無効となります。

遺言書で発揮できる効力

遺言書に記載した文書のうち、法的な効力を持つものは「法定遺言事項」と呼びます。遺言書を作成する方法に誤りがあった場合、一部のみしか法定遺言事項とならない場合もあるので注意が必要です。法定遺言事項として扱うものを把握しておくことで、遺言書で書くべきことがわかりやすくなるでしょう。遺言書の効力を3つ挙げて解説します。

遺産の指示

「長男には都内のワンルームマンションを相続させる」「次女には別荘を相続させる」「特定の預金口座は妻に相続させる」といった指示も遺言書に残せます。その上、一定期間における資産の分割の禁止も可能です。土地や建物など、さまざまな資産を持っているときに起きやすい遺族間のトラブルを避けられます。

また、知人や友人など、生前にお世話になった人へ資産を残すことも可能です。資産の詳細な指示を遺言に残せるので、相続がスムーズに行えるでしょう。

人に関わること

遺言書には、人との関わりも残せます。具体的には「生前にケンカが絶えなかった」「息子がアルコール依存症で家族に多大の迷惑をかけている」といった理由をもとに相続を取り消すことが可能です。

一方で、資産を大切な人のために残せます。遺言で隠し子の認知をしておけば、大切な子どもへ資産を相続させることが可能です。ただしこのような場合には、遺族にさらなるトラブルを招くこともあります。慎重に検討したうえで作成しましょう。

遺言の執行について

希望したとおりに資産を分配するには、自分をよく理解している人を遺言執行者にすることも重要です。遺言書に執行者を明記するとよいでしょう。基本的に、自己破産の経験をしておらず、成年に達していれば誰でも執行者になれます。執行者を1人に絞るのが難しい場合は、複数人の指名も可能です。

遺言書では後見人の選定もできます。相続人が成人していない場合は、資産の維持や管理を後見人に任せるのもよいでしょう。

効力のある遺言書の種類とは?

有効な遺言書を作るためには、遺言書の種類とそれぞれの特徴や作成方法の違いを知っておく必要があります。ここでは、4種類の遺言書を紹介します。自分で作るものや他の人に代筆を依頼できるもの、秘密裏に作れるものや緊急の際に用意するものなど様々な違いがあるため、状況に応じて最適な遺言書を選択しましょう。

自筆証書遺言

遺言書を自分で作るときの主な方法として、「自筆証書遺言」があります。自筆で名前や日付・遺言の内容を記した後に押印するという書き方です。自筆であることが条件となっており、パソコンやスマートフォンにデータとして残したものなどは無効となります。

ただし、2019年1月の法改正により財産目録が自筆でなくても遺言書として扱うようになりました。パソコンで作成して印刷した場合でも、自筆で署名を行い押印すれば有効となります。

参考: 『法務省|自筆証書遺言に関するルールが変わります』

公正証書遺言

自分で遺言書を作成するのが不安な方に向いているのが、「公正証書遺言」です。公証人の立ち会いのもとで遺言書を作れます。遺言に詳しい公証人がサポートするので、間違った遺言書を作ってしまう心配がありません。また、公証人役場で遺言書を管理するため、紛失する可能性もなくなります。

遺言書を作るときには、本人確認書類などの必要書類を持参して公証役場へ行きましょう。作成には、一般的に2週間~1か月の時間がかかります。

秘密証書遺言

「秘密証書遺言」とは、誰にも内容を知られずに遺言書を作成したい方におすすめの方法です。この方法には、証人を用意して公証役場で続きを行うという特徴があります。遺言書を作るのは遺言者本人です。書き方に細かい規定はなく、パソコンやワープロによる作成もできます。ただし、署名は自筆です。

公証役場には2人の証人を連れていく必要があります。その際、未成年者や相続を受ける予定の人は証人に適さないので気をつけましょう。公証役場では、遺言が本物であることを確かめてから署名をして、その後は自身で保管をします。

危急時遺言

「危急時遺言」とは、死の危険が迫っており署名や押印が難しい状況下で作成する遺言書のことです。その中でも「一般危急時遺言」は、ケガや病気などの状況で作成します。その際、利害関係のない証人を3人用意しましょう。本人による自筆が難しい際は、証人による代筆も可能です。

「遭難危急時遺言」は、飛行機や船による事故により死が近いときに作成します。この場合でも2人の証人が必要です。本人による自筆が難しい際は、証人が代筆できます。

遺言書の有効性を判断する方法

遺言を残すときには、内容に誤りがないことが重要です。検討しながら作成しても、無効の判断を受けてしまっては効力がないため十分に気をつけましょう。遺族がスムーズに資産の分割をするために、ミスを減らすことが重要です。ここでは、遺言書の有効性を判断する3つの方法を紹介するので、遺言書を作る際にチェックしましょう。

署名と押印がされている

遺言書には署名と押印が必要です。民法第968条にも、署名と押印をした遺言書が有効であると記載されています。

押印に関する細かい規定はありません。印鑑の代わりに指印しても有効ですが、指印の場合は本人のものであるか調査しなければならないため、遺言が有効となるまでに時間がかかることもあります。印鑑登録をしている印鑑や銀行口座の開設で使用した印鑑など、第三者でもすぐに本人のものと判断できる印鑑がおすすめです。

参考: 『民法第968条|自筆証書遺言』

遺言者の年齢が15歳以上である

民法第961条には、遺言は15歳以上から作成できるとあります。そのため、14歳以下の遺言は無効です。保護者が法定代理人として、15歳未満の遺言書を作ることもできません。

15歳から遺言書を作成できる理由は、明治時代の憲法と関係があるからです。明治民法の旧1061条では、男性の婚姻適齢は17歳以上、女性の婚姻適齢は15歳以上となっていました。そのため、年齢の低い15歳から遺言書を作成できるとしたのです。15歳なら遺言の内容を正しく理解し、遺言の結果を認識する能力があるという理由もあります。

参考: 『民法第961条|遺言能力』

公正証書遺言である

公正証書遺言とは、公証役場で保管してもらえる遺言です。公的な文書として扱うので無効となる心配がありません。特に、慢性の病気によって字を書くことが困難な方や、有効な遺言書を作る自信のない方でも安心して作成できるでしょう。

自筆証書遺言は、本人が亡くなった後に家庭裁判所での手続きが必要です。そのため、実際に遺言が有効となるのに1か月以上の時間がかかります。しかし、公正証書遺言ならすぐに有効となるので便利です。

遺言書があっても無効になるケース

遺言は、自分の資産を自由に分配できる大切な権利です。そのため、法律にのっとって正しく作らなければなりません。

遺言書を作成しても無効と判断されるケースがあります。遺言者が亡くなった後に無効であることが判明した場合、大きなトラブルへと発展する危険もあるので気をつけましょう。ここでは、遺言書が無効になる4つのケースをまとめました。

遺留分の侵害

遺留分とは、法律で保障されている最低限の相続分です。民法第1031条では故人の配偶者や子どもが相続する権利を保障しています。相続に関して、相続人は故人の意思を最優先するのが基本です。しかし、特定の人へ相続分が偏っていた場合、法定相続人は「遺留分侵害額請求」によって相続相当の金銭の支払い請求ができます。

ただし、相続人が遺留分侵害額請求をしない場合には、遺言のとおりに資産の分配が行われるので覚えておきましょう。また遺留分侵害請求の期間は、請求者が侵害の事実を知ってから1年以内となっています。2019年7月の民法改正によって、遺留分の取り扱いに関して内容が変わっていますので注意が必要です。

参考: 『法務省|相続法改正』

遺産分割の方法

基本的に、故人の資産の分割は遺言書の通りに行います。民法第908条に基づき、遺言書で遺産分割の変更の禁止をしている場合や遺言執行者が決まっている場合、相続人の希望による分割の変更はできません。

しかし、資産を受け取る相続人の全員が希望する場合に限り、遺言書とは異なる割合での分割も可能です。その際、遺言執行者がいる場合には執行者の承諾も必要となるので気をつけましょう。ただし、別の相続人による脅迫などにより遺産分割の希望があったと判明した場合、民法第96条に基づき取り消しとされます。

参考: 『民法第908条|遺産分割の方法の指定』

共同遺言

長年連れ添った配偶者と一緒に遺言書を作りたいと考える方もいるでしょう。しかし、民法第975条ではたとえ夫婦だとしても共同で遺言を作ることを禁止しています。

共同遺言を禁止している理由は、遺言を撤回するのが難しくなるからです。遺言とは、他の人の意見や考えに左右されずに自分で決めるべきものとしています。もし2人以上で遺言を作ってしまうと、遺言の撤回や変更の際に他の遺言者の承諾が必要です。遺言者の自由を奪うので、共同遺言は無効となっています。

参考: 『民法第975条|共同遺言の禁止』

代理遺言

遺言書は本人の意思で作るものです。遺言書の効力は強く、法律で定められた相続割合よりも優先されます。そのため、本人から聞いたという理由で第三者が遺言者に代わって遺言を作ることは禁止されています。

また、脅迫や脅しによって遺言書を書かせた場合も無効です。遺産分割は遺族にとても大きな影響を与えます。そのため、責任をもって自分で作成することが大切です。

家庭裁判所の検認が必要な遺言書

遺言書の中には、家庭裁判所による検認が必要なものもあります。検認とは遺族が提出した遺言書は本当に遺言者が作ったものであるのかを確認することです。検認をすることで、遺言の偽造を防いでいます。遺産相続の手続きの流れを知るためにも、家庭裁判所の検認が必要な遺言書を確認しておきましょう。

自筆証書遺言&秘密遺言書

検認が必要な遺言書は、「自筆証書遺言」「秘密遺言書」の2つです。公正証書遺言は、公証人の立ち会いのもとで作られており、公証役場で適切に保管しているので改ざんの可能性がありません。そのため、家庭裁判所での検認がなくても正式な遺言書として扱います。

なお、申し立ては遺言者の最後の所在地にある家庭裁判所で行うので、あらかじめ確認しておきましょう。

遺言書を無断で開封した場合

検認は民法第1004条で定められているため、検認をしていない遺言書を勝手に開封してはいけません。無断で開封した場合には法律違反となるので注意しましょう。違反した場合は5万円以下の過料を支払う必要があります。

遺言書を故意に隠したり破ったりすることも禁止です。遺言書は大切に扱い、発見した際には早めに手続きを取りましょう。

参考: 『民法第1004条|遺言書の検認』

遺言書の有効性は変わらない

検認は遺言書の形式をチェックするためのものです。本人が作った遺言書と判断された場合でも、遺言書の書き方や内容に不備があった場合には無効となることがあります。一方で検認をしなかった場合でも、法律に基づいて正しく作成している遺言書の有効性は変わりません。

まとめ

遺言書は法律に基づいて正しく作成しなければなりません。不備があった場合には無効と判断される場合もあります。資産の分配にも関係し、遺族にとっても重要なものであるため、慎重に検討してから作るようにしましょう。遺言書の作成や保管に不安を感じる場合には、公証人に相談するのもおすすめです。

遺言書の作成は生涯において重要な作業のひとつです。遺族が笑顔で毎日を過ごすためにも、十分な時間があるうちから遺言書の準備を始めるとよいでしょう。

あなたにおすすめ