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2011年07月 アーカイブ

2011年07月06日

日本の路地空間あれこれ~静岡・三島編~

皆さんこんにちは。

「住宅の歴史から考える理想の暮らし」コラムを担当している市川です。

「日本の路地空間あれこれ」をテーマに日本各地の路地を紹介します。

私たちの生活に古くから根付き、暮しを支える道について考えていきたいと思います。

今回は、富士山の麓、「水の都 静岡・三島」を紹介します。

(前回のコラムはこちら>>~日本の路地空間あれこれ~谷中編~)

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◆宿場町としての三島◆ 

三島市は古くから伊豆の中心地として栄え、三嶋明神(三嶋大社)の門前町として賑わいました。

三嶋大社は源頼朝が源氏再興の旗揚げをしたことでも有名です。

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また、東西を結ぶ東海道と南北を結ぶ下田街道・甲州道街道の交差する場所に位置し、

産業や文化の交流地点でもありました。

そうした街道を行く人々に三嶋大社への参拝客も加わりたくさんの人で活気に溢れていました。

江戸時代、慶長6年には徳川幕府の交通政策として宿駅として定められ、

東海道五十三次、11番目の宿場町として発展します。

 

そうした県外からの往来を結ぶ大路に対して、

その界隈には住人の生活道路としての小さな路地が形成されました。

これらの小さな路地を三島の人々は「三島八小路」として愛称をつけて呼び、

当時の逸話では、八つの路地名を箱根の関所でスラススラと言えれば、

三島人であると認められ、手形なしで関所が越えられたそうです。 

現在では、路地沿いの建物はほとんどが近代的なものに変わってしまいましたが、 

その道幅は当時の様子を伝え、ヒューマンスケールな散歩に心地よい路地空間が残ります。

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さて、皆さんは「看板建築」という言葉をご存知ですか?

看板建築は商店が軒を出さずにのっぺりとした看板のようにつくられている建物です。

三島の路地界隈では昔の面影を残す看板建築を見ることができます。

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写真は青みがかった緑青が美しい駄菓子屋さんです。

逆さに書かれた「ムラカミ」の文字が時代を物語ります。 こちらは国の文化財です。

緑青はいわゆる錆ですが、皮膜をつくり内部の腐食を防ぐ効果があります。

長期間、雨風にさらされ形成された外観は、時間によって醸成された美しさを感じます。

 

◆富士山からの地下水が街中に湧き出す町◆

三島は古来より水の都とよばれ、

富士山からの地下水が街中に湧き出す、湧水網都市といえます。

文化人にも水の町三島を愛する人が多くおり、

太宰治の「老(アルト)ハイデルベルヒ」では三島の情景が豊かに表現されています。

以下一文を紹介します。

「町中を水量たっぷりの澄んだ小川が それこそ蜘蛛の巣のようにやうに

縦横無尽に残る隈なく駆けめぐり、清冽の流れの底には 水藻が青々と生えて居て、

家々の庭先を流れ、縁の下をくぐり、台所の岸をちゃぶちゃぶ洗ひ流れて、

三島の人は台所に坐ったままで 清潔なお洗濯ができるのでした」

 

中心市街地には、小浜池、源兵衛川、桜川といった富士山の地下水系に属する湧水池や

河川が網の目のように点在し、美しい水辺空間を形成しています。

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こうした河川は農業用水路として利用されてきましたが、 昭和30年代には

都市化・工業化・生活環境の変化により、湧水が枯渇し水質が悪化していました。

子供たちが遊ぶ水辺空間は、ゴミや生活廃水で溢れ悪臭放つ醜い川となったのです。

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そうした中、ふるさとの原風景を取り戻そうと三島市民が立ち上がり、

NPO法人の立ち上げを通じ環境保全活動が始まりました。

この再生事業では、川は家々の前庭として利用されるようにし、

さらに、多くの人が川を身近に感じながら散策できる「川の道」を整備しました。

日常生活の中で、「川がみんなの共有財産」であることが意識されるようになったのです。

 

水際の石段を渡ると、せせらぎと心地よい風を感じながら、水辺の景色を楽しむことができます。

現在では、ホタルやカワセミが生息する豊かな水辺自然空間が再生したのです。

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◆三島のうなぎはなぜうまい?!◆

あまり知られていませんが、三島といえばおいしいうなぎも有名です。

前述のように、富士山の雪解け水で水に恵まれた環境を活かし、

産地から運ばれたうなぎを一週間ほどその湧き水にさらすことで臭みがなくなり、

うまみを引き出すと言われています。

伊豆への旅行の際には是非ご賞味下さい。

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さて、今回のコラムは如何でしたでしょうか?

次回は「日本の路地空間あれこれ~長野・安曇野編~」をお話したいと思います。

それではまた次回、お会いしましょう。

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◇コラム執筆者◇
「住宅の歴史」から考える理想の暮らしコラム。
ライフスタイルの変化から見えてくるものとは?
住宅の昔と今を紐解きながら、理想の暮らしを考える。

一級建築士 市川 忍(ポラス暮し科学研究所

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