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2011年05月 アーカイブ

2011年05月16日

日本の路地空間あれこれ~福島編~

皆さんこんにちは。

「住宅の歴史から考える理想の暮らし」コラムを担当している市川です。

今回より「日本の路地空間あれこれ」をテーマに、

私たちの生活に古くから根付き、暮しを支える道について考えていきたいと思います。

第一回目は、福島県の震災を免れた文化遺産を紹介します。

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◆山間にひっそりと佇む街道沿いの町「大内宿」◆

大内宿は、日光と会津若松を結ぶ街道沿いの宿場町として栄えました。

この街道は会津西街道とよばれ、

会津藩が江戸時代の初期に会津と江戸を結ぶ幹線道路として整備したものです。

米等の物資の輸送や会津藩主の参勤交代の際にも利用される重要な街道でした。

当時の大内宿は街道の要衝として旅人を泊めたり、荷物運搬の人馬の中継ぎ場所として、

本陣を始め、旅籠や問屋などが軒を連ね賑わいをみせていました。

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◆茅葺き屋根と水路のある路地空間◆

会津南部の広葉樹林が美しい山間部を抜けると突如現れる大内宿。

周囲を山に囲まれ、緩やかな坂道沿いに約40軒の茅葺き屋根が整然と並びます。

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道の両脇には石組みの水路が設けられそれぞれの建物の前には洗い場が設けられています。

この水路、昔は道の中央にありました。

道の上でも生活の一部が展開され、道を通じて地域の人がつながっていたことが想像されます。

現在は、路地の打ち水や、飲み物を冷やす場所として利用され風情ある情景が残ります。 

そして、建物の多くは通りに面して縁側を設け、奥に座敷があるという配置になっています。

縁側は、現在会津地方の田舎料理や、特産品を販売する店先になっており、

通り沿いは親しみのある福島弁が飛び交う、明るいストリートになっています。

今も昔も道は人々が交わる活気あふれる場所として広場のような機能をもっていたのです。 

こうした街並みは会津地方の宿場形態の典型的なものでしたが、多くは失われてしまいました。

大内宿は今日もなお往時の姿をよく残す貴重な路地空間なのです。

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◆茅葺き屋根は「結」の精神を伝える◆

大内宿には「結」という考え方が根付いていました。

これは日本各地の農山村の多くでもみることができます。

結は地域内での労力交換や相互扶助と訳することができます。

例えば、田植えの時期にお隣さんにお手伝いをしてもらった場合、

同じようにこちらも何かしらの労力でお返しするというものです。

田植え同様に、茅葺き屋根の葺き替えの際にも、多くの人手が必要となり、

こうした作業や行事は地域の住民総出で行いました。

互いに依存しながら暮しが成り立っていたといえます。

大内宿の美しい茅葺きの屋根並みは人々のつながりの象徴ともいえます。

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報道等で被災された方々の頑張っている姿を見るときこの「結」という言葉が思い出されます。

日本人の「結」のDNAは困難な状況でも助け合い、立ち向かう力強い人と人の結束をつくり

私たちひとりひとりに中にしっかりと根付いているのでなないでしょうか。

 

さて、今回のコラムは如何でしたでしょうか?

次回は「日本の路地空間あれこれ~谷中編~」をお話したいと思います。

それではまた次回、お会いしましょう。

 

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2011年05月26日

日本の路地空間あれこれ~谷中編~

皆さんこんにちは。

「住宅の歴史から考える理想の暮らし」コラムを担当している市川です。

前回より「日本の路地空間あれこれ」をテーマに連載中です。

私たちの生活に古くから根付き、暮しを支える道について考えていきたいと思います。

今回は、江戸東京の下町情緒を残す路地空間「谷中」を紹介します。

(前回のコラムはこちら>>~日本の路地空間あれこれ~福島編~)

 

◆お寺の多い町谷中◆

谷中を歩く時、お寺の多さに驚かされます。

江戸時代、徳川家光の命により現在の上野公園の場所に 寛永寺が建立されました。 

その敷地は今の上野公園の約2倍といわれ、広大な敷地を有していました。

谷中は当時農村でしたが、寛永寺の子院や他の地区から移転してきた寺院が

次々と建立され、 同時に参詣客も増えました。

訪れる人の賑わいともに花屋や墓石屋といった町屋ができ、寺町としての景観が形成されます。

明治になり、多くは宅地に変化していきますが、 震災や戦災の影響が少なかったため、

通り沿いには、今でも多くの寺院や墓地内の大きな樹木が町中に残っています。

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お寺の前までくると、門前から境内の奥までぱっと視界が開け、濃い緑と青い空が広がります。

谷中は都心とは思えない景色とめぐりあうことができる場所なのです。

 

◆路地にとって大切なものとは?◆

さて、路地というという皆さんはどのようなイメージをもたれますか?

道幅が狭く密集したイメージや迷路のように複雑に入り組んだ空間、古い建物・・・

谷中には魅力的な路地がたくさんあります。

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まず始めの 路地です。

道幅に対して圧倒的な緑のボリュームは、道路に程よい木陰をつくりだしています。

左手前のお宅は、道路側の屋根の高さが低く抑えられ圧迫感がありません。

そのため奥にある樹木の形もよく見え、大木を中心にした街路景観が形成されています。

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こちらは、車が通過できないほどの道に、木製バルコニーがせり出した住まいが並びます。

どこが宅地と道路の境界なのか、何軒の家があるのかわからないほど密集しています。

こういう道なら子供を遊ばせておいても安心ですね。いわば庭としての機能をもつ道です。

 

こうした路地では、車がある生活は想定できませんが代わりに豊かな外部空間があります。

路地にとって大切なことは「自然」や「人」が中心であるということなのです。

 

◆新たな価値観との融合◆

近年では、地区内の古い建物や景観を保全する活動が住人を中心に展開されています。

その一つに銭湯だった場所をギャラリーとして利用する「スカイ・ザ・バスハウス」があります。

煙突や入口の暖簾が印象的な銭湯ですが、内部はモダンアートの空間に改装されています。

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また、築100年の布問屋別邸をユニークな発想で活用している事例もあります。

1階の座敷部分を有償で一般に貸し出し、2階はシェアハウスとして学生等に住んでもらい 、

掃除や窓の開け閉めといった日常的なメンテナンスをお願いするというものです。

また、定期的に上野・谷中を巡る歴史探訪会や子供と参加する寺子屋プロジェクトなどが

開催され,地区外の方でも伝統的な日本家屋で体験できるイベントに参加することができます。

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(ご興味のある方はこちら>>たいとう歴史都市研究会)

古いものを価値のあるものとして受け継ぐにはご紹介したような視点や

価値観を変えた活用方法を見出すことが大切なのかもしれません。

時代を超えてなお人々から愛される路地と谷中の町を皆さんも是非体験してみて下さい。

 

さて、今回のコラムは如何でしたでしょうか?

次回は「日本の路地空間あれこれ~静岡編~」をお話したいと思います。

それではまた次回、お会いしましょう。

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◇コラム執筆者◇
「住宅の歴史」から考える理想の暮らしコラム。
ライフスタイルの変化から見えてくるものとは?
住宅の昔と今を紐解きながら、理想の暮らしを考える。

一級建築士 市川 忍(ポラス暮し科学研究所

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